世界に誇れる日本人となろう 〜道徳教育を学校で〜
日本教育再生機構 柳岡克子
ツーワン紀州  9月21日付け
県民の友H24年6月号 知事メッセージ 
 県民の友の裏表紙に知事メッセージ県民の皆様へというコーナーがあります。6月号の題は「道徳教育」です。仁坂知事が読んだという「13歳からの道徳教科書」(道徳教育をすすめる有識者の会・編)という本は、2月11日建国記念の日に育鵬社から出版されました。知事は、37のエピソードの中に、2つも和歌山県ゆかりの話が取り上げられていることを高く評価していて、そんな素晴らしい人材を輩出した和歌山は、世界に尊敬されるとも書いています。一つは、津波でクローズアップされた「稲村の火」で有名な濱口梧陵の郷土愛で、もう一つは、串本沖で遭難したエルトゥールル号の救出のあたった人々の献身的な行動についてです。
 東日本大震災の時、暴動も争いもなく支援物資を並んで順番に受け取っていた礼儀の良さが世界中に配信され、日本人の道徳観が見直されました。戦前は、修身や教育勅語というのが教育の根本にあって、日本人のあるべき姿を学校で教わることができました。しかし、私たちは教育基本法のもと、個人の尊重や人権、学力向上に重点がおかれ、道徳は教科にはありませんでした。ですから教科書もなく、評価もなく、心に響く感動的な授業を受けていません。「昔の日本人は、外国を侵略し、人殺しをした悪い人たちだ。」とばかり習っていると、国家に対する誇りも、先祖への畏敬の念も持てなくなります。
 物質的に豊かになったのに子どもたちのいじめや非行、不登校や自殺など貧しかった時代とは違った心の荒廃が増えています。それは、学校で命の尊さを基本とする道徳教育が重要視されていないからだと思います。道徳の授業は、席替えや学校行事に振り替えられたりしています。現場の教師も戦後教育しか受けていません。ですから、子どもたちだけでなく大人が読んでも新鮮なのです。この本に取り上げられている話は、一つ一つ感動しながら読み進められ、考えさせられる内容で「道」「マナー」「友情」「自然の美しさ」「親子の絆」「助け合い」「国旗への敬意」をキーワードとしたコラムがあり、中学校道徳学習指導要領にのっとっています。聖徳太子や福沢諭吉、西郷隆盛など歴史上の人物からビートたけし、盛田昭夫、スクールウォーズで有名になった泣き虫先生こと山口良治など身近な人物のエピソードが取り上げられています。
 日本教育再生機構は、美しい心を伝える教育の実践を目指し、「教育改革にまったなし!」と手を挙げた八木秀次理事長のもとに集まった有志が中心となって平成18年10月に結成された民間の教育団体です。「教育再生」を提言していくうえで、「伝統文化を継承し、世界に発信し、心を重視する道徳教育を充実させ、男女の違いを尊重し、家族を再興し、教師力を向上させ、学力を取り戻し、教育再生を願う志と志をつなぎます。」という方針を表明しています。
扶桑社の教科書部門を担当する育鵬社から、2011年夏の教科書採択で、歴史・公民あわせて400校以上で採択されました。少しずつですが、戦後の歴史教育のひずみを正そうと言う運動が広がりつつあります。新しい歴史教科書をつくる会も自由社から、戦後レジームからの脱却をめざした教科書を発行していて選択肢が広がりました。歴史というのは人の生き方を学ぶもので、その人がどうやって苦労を乗り越えてきたかを知ることで、自身の肥やしにするのです。歴史だけでなく道徳も教科として学校で習えるようになり、世界に誇れる日本人が育ってほしいと思います。