男女共同参画にかかわって
 和歌山県では平成14年に「和歌山県男女共同参画推進条例」を施行し、その基本理念に基づき、平成15年に和歌山県男女共同参画基本計画を策定しました。計画では「男女共同参画で描く新しいふるさと和歌山」という長期的目標と、「T新しいふるさとづくりへの男女共同参画の推進」、「U政策・方針決定過程での参画の促進」、「V社会的気運の醸成」、「W働く場での推進」、「X仕事と家庭の両立支援」、「Y男女間の暴力的行為の根絶」、「Z男女が互いの性を尊重する意識・健康づくり」、「[教育の充実」という8つの施策の方向が定められています。平成19年3月には、この計画の内容を基本的に維持しながら、社会経済情勢の変化や課題を踏まえ、より実効性のある施策を実施するための計画が改定され、「@防災・災害復興における男女共同参画の推進」、「A男性への広報・啓発活動」、「Bパートタイム労働者や派遣労働者等に対する適正な処遇・労働条件の確保」、「C起業支援」、「D男女間の暴力行為の予防」、「E性犯罪加害者対策」、「F人身取引への対策」、「G性差医療の推進」、「H適切な性教育の推進」、「I喫煙・飲酒対策の推進」、「J女性のチャレンジ支援」という11の項目が新たに追加されました。
 9月の日高郡の町村会定例会で県男女共同参画推進課から町村の男女共同参画基本計画の策定について協力要請があったようですが、御坊市は平成17年4月に策定されました。「男女共同参画社会の実現をめざして」を基本目標に「@意識の確立」、「A政策・施策等決定過程への女性の参画促進」、「B働く環境整備の促進」、「C地域・家庭における促進」、「D健やかに暮せる環境整備」の5つの重点目標を掲げています。それぞれに具体的方策を揚げ、担当課を明示し、市全体で取り組み第3次御坊市総合計画との整合性を図っているところが特徴です。
 私が男女共同参画にかかわったのは、第3期わかやま女性100人委員に応募したことから始まります。御坊日高地域の代表として西口知事に「1行たりとも見逃さないで」と提言を渡したのはいい想い出です。その後、県が募集した女性海外派遣事業「女性のつばさ」の6期メンバーとして、フロリダ、ロサンゼルス、カナダなど車椅子で視察研修できたことは同行の「メイプル」20名の皆様のおかげです。帰国後は日高地域の歴代のつばさの参加者でつくる「つばさの会日高」で映画「折り梅」上演会をし、御坊市民文化会館に600人もの方にお越しいただき好評でした。3年間続いた男女共同参画推進員の日高御坊ブロックの代表として、男の料理教室や男の介護教室を開催しました。りぃぶるフェスタin日高では実行委員長をさせてもらい「智の花」の講演会をしました。また、第3期女性地域リーダー養成プロジェクトを修了しその海南・有田・日高の3地域のメンバー有志で、3rd.WAVE(サード・ウエイブ)を結成(現会長)し、毎年県の人権フェスタに参加、展示即売をしています。今年は「りぃぶるdeさんかくトーク」の企画運営事業を委託され、3箇所で第1次産業従事者を対象にワークショップを開催します。
 平成15年3月、御坊市で男女共同参画を推進するグループ「ウイズ・ア・スマイル」が誕生しました。和歌山県内50市町村のうち管内11箇所の「いきいきタウントーク」の企画・運営を委託され、平成16年には、御坊市、中津村、みなべ町の3箇所で「りぃぶるタウントーク」の事業を委託されました。県外視察として大阪府・大阪市・京都府の女性センターの見学もしました。平成17年度は「健康」をテーマに男女共同参画の視点から「健康体操」「介護教室」「男の料理教室」「認知症研修」の4つの事業にチャレンジしました。
 平成18年度は、アサーティブネス入門講座を一般公開で3回実施しました。また、一人の陶芸家として働く女性が骨髄バンクの立ち上げに尽力する姿を描いた映画「火火」上映会を県人権啓発推進事業委託を受け盛大に開催できました。その他、毎年2回、ロマンシティー入り口におきまして、「男女共同参画週間」と「女性に対する暴力をなくす運動週間」の啓発グッズの配布に協力させてもらっています。そして、5年目を迎え今年度、「教育」をテーマに実際に子育てしている世代の座談会を開催したいと考えました。そこでコーティングの講師のもとファシリテーター養成研修を受けた上で座談会をすることにしました。夏休みに親子で参加してもらえるように、神戸子育てサポーター遊ばせ隊製作の「手洗いパラパラ」を保育園の皆で踊りました。また、NPO法人アタックメイト和歌山の皆さんにご協力をいただいて、「工作教室」を楽しくすることができました。この度の2つの事業を報告し、貴重なご意見を大切にしたいということで冊子にまとめました。
 このように振り返ってみますとどの事業もはじめてのチャレンジで、不安と喜びの繰り返しでした。私は、伝統文化を大切に、男らしさ、女らしさを尊重した姿勢をつらぬいたので、あちこちから非難や指摘を受けました。しかしながらここに来て女らしさについて書いた、内閣府初代男女共同参画局長の坂東眞理子著の「女性の品格」がベストセラーとなっています。女性が品格を失ってしまったのか、今さらながら言わなければ知らない、気づかない、わからない、教えられていない女性が増えているからなのでしょうか。「男らしさ、女らしさ」より「個性」を大切にと訴えるあまりに、極端なフェミニズム思想に偏り、ジェンダーフリーが行き過ぎてきました。そこで、これらの風潮を揺り戻し是正しなければという動きが出てきました。熱心な推進派はこの揺り戻しを「バックラッシュ」と呼んでいますが、これからは真の男女共同参画社会について議論しながら進めていかなければなりません。右から見れば左、左から見れば右。どこから見ても丸い球のような角(かど)のない心で、私は真ん中を歩いていきたいと思います。
 まだまだ男女共同参画といっても誤解があり、敬遠されがちなテーマをかかげ、どのような事業をするにも、土地柄なのか人集めから難航し、理解を得るまで大変苦労をしました。そんな時でも、様々な活動に当たって、いつも支え励まして下さった仲間の一人ひとりに感謝の気持ちでいっぱいです。そして、活動に参加してくださった皆さん、行政関係の皆さんのご協力なしには何もできなかったことをあらためて感じています。紙面をお借りして厚く御礼申しあげます。
 短期間に内閣総理大臣や男女共同参画担当大臣や和歌山県知事が何人も変わり、国の施策も県の施策も予算も時代の流れと共に変わりました。常に社会情勢に耳を傾けながら、勉強と研鑚を続け、住みよい社会作りに貢献できればと思っています。