これからの県スポーツについて
平成14年3月より社会福祉法人和歌山県身体障害者連盟理事という立場で学識経験者として和歌山県スポーツ振興審議会委員をさせてもらっています。当時は、和歌山県身体障害者スポーツ協会の評議員で県障害福祉課と県教育委員会とのパイプ役になるよう県スポーツ賞選考委員として、表彰における障害者と健常者の大会の垣根をなくす選考基準改正作業に当たっていました。審議会が慌ただしくなってきたのは、二巡目国体開催に向けた気運が高まり現実味を帯びてきたからです。平成18年7月4日付けをもって県教育委員会から本審議会に対し、「和歌山県におけるスポーツ振興基本計画の在り方について」の諮問がありました。私たち県下の小中高校長の代表やスポーツに関係のある有識者から構成される委員15名は審議を重ね6月、大桑?嗣会長名で答申をしました。
 まず、スポーツ振興基本計画策定に向けて5つの大きな課題を挙げました。@生涯スポーツ社会の実現に向けた、地域におけるスポーツ環境の整備充実 A本県の競技力向上 Bスポーツ振興を通じた子どもの体力の向上 C体育・スポーツ施設の整備充実 D第70回国民体育大会の開催の5つについて検討課題として現状を分析し、数値を挙げて目標を設定しました。
 具体的方策として、@では世代間交流や地域の連帯意識の高揚など地域社会の活性化に寄与する「総合型クラブ」の育成を目標としています。Aでは競技者の発掘・育成・強化のため「ゴールデンキッズ発掘プロジェクト」などにより、小学3年生・4年生を対象に優れた素質を有する子どもたちを組織的・継続的に育成するプログラムを実施しています。Bでは学校,家庭、地域、行政が連携したレクリエーションの推進や心身のバランスのとれた体つくり、規則正しい生活習慣を身に付けることを重要視しています。Cでは財政事情を考慮しながら整備・充実に努める必要性を認識しています。また、学校施設の地域への開放もニーズに応じ努めたいとしています。Dについては8年後に向けて県民参加による工夫を凝らした国体が活力に満ちたふるさとづくりに寄与し、和歌山の魅力を全国に発信することを目標としています。国体が起爆剤となり、開催後においても県民の意識高揚と継続したスポーツ振興が図られることが望ましいことです。
 以上の答申を策定するに当たって、審議会で私は障害者卓球でパラリンピックを目指していた競技者として、全国の体育館で試合をしてきた経験から県下の施設を比較して、冷暖房設備の不備や災害時避難所としての機能が果たせるかどうかなどについて指摘させていただきました。施設整備については国体に向けて単年度の予算では対応できないのではないか。国体の後行われる障害者スポーツ大会へ対応できる宿泊施設も少なく民間事業者の協力を必要とし、早期の対策が求められるのではないか。学校現場における指導者不足、優秀な競技者の県外流出など憂いでいることについて、発言の機会を与えていただきました。縦割り行政では担当課が違い難しいとされる提案についても、例えば介護予防の観点から高齢者スポーツの推進、体力づくりにおける栄養指導・食育の必要性など、スポーツという観点から総合的に基本計画を策定するために教育委員会と他課との連携した取組や対策を文言の中に盛り込んでいただきました。
 県教育委員会には、本答申を踏まえ、パブリックコメントとして県民の意見を取り入れて、本県の今後のスポーツ振興方針の指針となる「和歌山県スポーツ振興基本計画」を策定し、豊かなスポーツ環境を目指してなお一層スポーツ振興に取り組んでいくことを期待しています。