231、地理の先生が世界を旅して感じた子どもの道徳感
平成19年11月8日、異業種研鑚会では、万福寺住職の塩路正さんに「最近思うこと」と題し講演してもらった。38年高校の社会科地理の教師として子どもたちとふれあってきた経験を話した。地理は足で勉強しなければとあちこち旅行した。日本では、今一番欲しい物を聞いたとき「お金」と書いた子が8割もいたことを憂いだ。世界各国を見聞した中でタイの田舎の青年が「今、勉強できるのは親のおかげ」と貧しい中で教育を受けさせてもらった親への感謝と将来の夢を語ったことが忘れられない。と語った。また、お菓子をあげるとその場で食べず家で待つ幼い弟妹たちににとっておく子どもに出会った。父親を亡くした生徒が「家族の健康と世界の平和」と書き、くれるなら「元気な頃の父」と思っていたら、生前の父が病室で撮った遺言ビデオが出てきたというエピソードに参加者は涙を誘われた。最近の殺伐とした社会から道徳が薄れ、親の働く姿を見て育つ子どもが減っている。欲しい物を何でも与えていると子どもをダメにする。最後に「今の日本の社会は人間同士の絆が薄れ、一家団欒という言葉さえ死語になっている。自分さえよければいいという気持ちでなく、もっと素朴に純粋に人を思いやるという気持ちを取り戻してほしい」とアジアやアフリカ各地を旅した経験から現代日本の社会状況に警鐘を鳴らした。