道路整備促進大会(日比谷公会堂)平成14年10月31日 
 ただ今ご紹介いただきました御坊市身体障害者福祉協会肢体障害部会長の柳岡でございます。現在、御坊市の薬局で薬剤師をしています。私は、四肢関節拘縮症という障害を持って生まれ、少しは歩けますが車椅子を使って移動します。母に朝夕の送り迎えをしてもらって御坊市の小中高校を卒業するまでの私の行動範囲は狭く限られていました。自転車に乗れないからです。自立のため大学進学を決めた時、まず何を考えたと思いますか?それは、車の運転免許を取ることでした。神戸学院大学薬学部に合格したものの、坂の多い神戸で車椅子は私には使えません。単車に乗れず、バス停まで遠くて不便で、どこの駅にもエレベーターがついているとは限らない電車を利用できませんでした。自炊なのに買い物にも行けない生活から脱却するため手動式の車を自動車学校に持ち込んで免許を取りました。おかげで車に乗らない日はないぐらい毎日自由にあちこち活動させてもらっています。私のような障害者にとって車は"足"であり道路は私と社会をつなぐ"かけ橋"なのです。「税金は福祉に」と、よく言われますが、障害者もどんどん社会に溶け込んで生活できるようにすることが福祉というならば、道路整備事業こそ、福祉の向上に大きく貢献する国家の財産といえるでしょう。
 今、高速道路は私の住んでいる御坊市まで伸び、阪神高速湾岸線もでき、当時4時間かかった神戸まで3時間で行けるようになりました。和歌山のみかんや梅、黒潮の恵みを大きく受けた紀州の海の幸を首都圏や京阪神に新鮮なまま届けられるようになったのも高速道路のおかげです。しかし、紀伊半島は御坊から南部、白浜、本州最南端串本、新宮から三重県へとまだまだ続いているのです。途中で途切れてはいけないのです。もし、紀伊半島に阪神大震災のような大きな災害が起こり道路が寸断されるようなことが起こったら大変なことになると思います。台風でさえ来る度に被害をもたらし、リアス式海岸沿いの国道42号線は波が高いと通行できなくなります。また、山間部の狭い道路は土砂崩れで行き止まりになることがよくあります。緊急時の援助などを受けられるには、丈夫で安全な高速道路が紀伊半島を一周することが陸の孤島と言われ続けた和歌山県の願いなのです。
 ボタン1つで世界の情報が手に入る時代なのに、和歌山県は道路が不備なために流通が遅れ、工場誘致も少なく産業の発達が進みません。そのために人口が減りますます過疎化を進行させているように思います。21世紀は心の時代だと言われています。都会の生活に疲れても週末には、緑豊かな森林と青い太平洋を眺め、心をいやすため和歌山にドライブしようという人がきっと増えることでしょう。道路が整備されれば。
 薬剤師として、医療の面から考えましても、京阪神と短時間で移動できなければ優秀な医師は来てくれません。医師が少なければ設備の整った病院が少なくなるし、高度な医療を受けられなくなります。また、全国には県道や市町村でも消防車や救急車が入り込めない狭い道路がたくさんあります。国民誰もが安心して生活できるのは道路の整備が不可欠です。
 最後に、このような大きな大会で話す機会を与えてくださいましたこと感謝します。道路整備は決して無駄な事業ではありません。ここに全国からはるばるこられた皆様の熱意と旅費を無駄にしないためにも、道路整備事業に、より一層の努力を注いでいただけますようお願いして、このようなたくさんの椅子に向かってお願いするのは初めてではございますが国会議員の皆様には何とぞよろしくお願いしたしまして私の意見発表とさせていただきます。