82、要約筆記について
講演会で手話通訳が付いていることはあっても要約筆記があることは少ない。なぜなら要約筆記の技術を持った通訳士が少ないからだ。1対1で隣に座ってホワイトボードやノートに書き留める事もある。講演会など広い場所での要約筆記は、オーバー・ヘッド・プロジェクタ (OHP)を用いてロールと呼ばれる巻物状のOHPシートに、油性ペンで文字を書き、スクリーンに映し出す。要約筆記者は光源を注視するため専用の偏光グラスと滑りよくするため手袋を着用する。1行に10〜12文字を約3pの大きさで楷書で書く。要約筆記は同時通訳と同じで、話すスピードに遅れないよう「速く」書かなければならない。1分間に話すのは300字ぐらい、書くのは60字ぐらいしか書けない。そこで要点をまとめる要約力が必要になる。また、要旨を正確につかみ「正しく」書くには、正しく聴いて文として表現する国語力が求められる。そして、速く書けたとしても読めなければ伝わらない。「読みやすく」書く技術も必要だ。話の内容が間違って伝わることがあってはならない。この3原則にそって書くには、話の要点を的確につかむためしっかり聴きとることが大切だ。速く書くために「略号」や「略語」「略称」も使う。利用者が知っていることが前提だ。