79、手話言語法について
日本では1933年以降、2011年(平成23年)まで、手話は日本の法律上では「言語」として認められていない。公立のろう学校でも、「口話法」(相手の口を見て話を理解する技術)が主流となっている。これまで、多くのろうあ者は、先輩等の手話を見ておぼえていた。そこで、手話言語法という、手話を「言語」として認める法律を制定しようという動きがでた。国際連合の障害者権利条約には、手話が「言語である」と明記されている。2011年(平成23年)7月29日、「言語」と規定された改正障害者基本法案が参議院本会議で全会一致で可決、成立し、8月5日に公布された。この改正により、日本で初めて手話の言語性を認める法律の裏付けが制定された。2013年(平成25年)には、日本で初めて、鳥取県が「手話は言語である」と明記した鳥取県手話言語条例を制定した。2014年(平成26年)11月27日には近畿の自治体では初めて、兵庫県加東市で手話言語条例が可決された。施行は翌年4月。2016年(平成28年)、障害者差別解消法が施行されたのにともなって和歌山市では手話言語条例、障害者差別解消条例が可決された。9月議会では4月の橋本市に続いて日高川町でも手話言語条例が可決されるなど社会参加への理解のある行政もある。残念ながら御坊市では「国による手話言語法の制定が先だ」と議員の一般質問に対して回答があった。しかし、12月の和歌山県議会で手話への理解を深め、聴覚障害者と共生できる地域社会の実現をめざす議員提出の「和歌山県手話言語条例案」を全会一致で可決した。公布・施行は12月26日条例では手話を「独自の言語体系を有する文化的所産」と位置付けており、県に市町村と連携して手話の普及や習得の機会を確保したり、手話をしやすい環境を整備したりすることを求めている。