72、車いすツインバスケットボール大会を見学して
上道さん自体、頸椎損傷者である。脊椎損傷者会と一括りにしているが脊椎の何番目に損傷があるかで不自由さが違う。上になればなるほど不自由だ。まして頸椎に損傷があると手が動かせない。上道さんはわずかに動く2本の指で電動車いすを操り、全国どこへでも行く。そんな上道さんに励まされて多くの障害者は生きる勇気を与えられ、車いすバスケットにチャレンジするところまで来た。ところが両手が不自由だと重いボールを正規のゴール(高さ3.05メートル)にシュートしても届かない。そこで下肢のみではなく、上肢にも障害を持つ重度障害者でも参加できるように車いすツインバスケットボールが考案された。これまで車いすバスケットボールをやりたいと思っていても、その早い動きについて行けないとかいった理由で参加できなかった人がたくさんいた。そういった人たちにとってこの車いすツインバスケットボールは、まさに画期的なスポーツの誕生となった。従来の車いすバスケットボールに使用されている正規のゴールの他に、もう一つの低いゴール(高さ1.20メートル)をセットし、正規のゴールまで届かない選手のためのゴールとした。それから3年間日高地方で車いすツインバスケットボール大会が開催された。