61、個人情報保護法の壁
 広島での全国身体障害者スポーツ大会に出場したことから御坊市身体障害者福祉協会に入会していた。その後、肢体不自由部会長となって、数年の間、会のことを学んできた。年間行事や他団体との交流などもあり、和歌山県身体障害者連盟の先輩方にもかわいがってもらった。私が入会した頃は、300名ぐらい会員がいた。そんな時個人情報保護法が成立した。御坊市には約1700名ぐらいの身体障害者がいる。しかし、行政はその名簿を見せる事が出来なくなった。新しい会員を増やすにもこちらから訪ねていくすべがなかった。しかも傷痍軍人で障害者団体の基礎を作ってくれた方々は、お亡くなりになっていく。いろいろ教えてくれた方とのお別れは寂しかった。私が会長になってしばらくの間に副会長が次々5名亡くなった。両腕をもぎ取られるような思いだった。障害者の名簿が手に入らないので私たちの仲間になって障害を分かち合いたいといってもどこに障害者がいて、どんな悩みをお持ちなのか把握できなくなった。あちこち聞き合わせて、入会を頼みに行ったら「誰に障害のことを聞いたのか」と問い詰められた。世間に自分が障害者であることを知られたくない方もいることが分かった。福祉が充実してくると昔のように一致団結して陳情していく時代ではなくなってきた。会に入らなくても平等に福祉のサービスが受けられる。患者会のように同じ障害を持っていれば分かち合う事も癒しになるが身体障害という大きな枠組みの団体では、安い会費でもメリットを感じにくくなっている。気がつけば会員が100名を切っていた。