40、卓球の練習
 仲よくなった障害者と話した。卓球でいいボールが返せる人はその技術が上手なだけでなく、みんな精神的にとても強くてりっぱなことがわかった。何年も病気と闘ってやっとスポーツと出会えたのが卓球だった方。健常者でバリバリ働いていたときに交通事故で腰から下が麻痺して車いすの生活になってしまった方。私にはとても耐えられないような苦労を乗り越えてきた方ばかりだった。私は自分自身の弱さや甘えを痛切に感じとるとともに、家族や友人、学校や職場にいかに恵まれたかを改めて感じた。今までは、障害者である自分がいやで、障害者であることを忘れようとしていた。でも、離れられないのだから、これからは、逃げたり、悲しんだりせず、堂々と自分の障害とも仲良くつきあっていこうと思った。1年ぐらいして、試合にも出してもらえるようになった。やっと、ラリーが続くようになっただけで、負けることが多かった。そこで親しくなった県外の方々の練習量を聞いて「これではとても勝てない」と思った。それで、日高高校の卓球部にお願いして、放課後の練習に時々参加させてもらった。木曜日の夜、地元の美浜卓球愛好会という健常者のサークルの練習にも仲間入りさせてもらって練習した。また、専属のトレーニングをしてくれる中学校の卓球部の先生も見つけ放課後先生の赴任している中学校へ行き、卓球部の生徒に交じって指導してもらった。私は落ちたボールが拾えない。私の相手をして下さる人にはボール拾いの負担をかけながらの練習になる。それにもかかわらずみんな快く指導してくれたことに本当に感謝している。