32、塾の進路指導
 中学3年生の受験塾なので、高校を選択する面談が学校である。だいたいお母さんが学校へ行って生徒と担任の先生の3人で話をする。和歌山県は当時統一テストを毎月していて、5教科の合計点が何点あればA高校、足らなければB高校と2つの公立高校のランクが暗黙のうちにあった。担任の先生はそのデータを持っていて、親に見せていない子でもここで披露され、この点ならこっちの高校へ行けるという話になる。親は少しでもいい方の高校へ行かせたいと塾へ来させてくれているので三者面談の後、塾でもどうだったかを聞くため親に来てもらう。そこで親は何としてもA高校へ行かせたいので何とかお願いしますと頼む。生徒本人もがんばる意思があれば応援し、指導する。しかし、親の行かせたい高校と子どもの行きたい高校が違う場合困る。父親と母親の考えが違う家庭もあった。でも塾をしていて一番苦労するのが行きたい高校と学力が合わない時だった。残り2カ月ぐらいになってもA高校への夢を捨てきれない子どもにどこまで学力を向上させることができるか。最終的にB高校に変更してくれたり、願書締め切りのぎりぎりまで定員と応募者の人数情報との闘いだった。最後の追い込みで伸ばしてくれた子もいて、学年全員が合格してくれた発表の日はとてもうれしい日となった。毎年皆で合格パーティーをした。