21、薬学研究会に入って
  クラブは何にしようか迷った。楽しそうなサークルからの勧誘もあった。しかし、寮の先輩から薬学部の勉強がしんどいことを聞かされあまり遊んでいられないと思った。高校では、理系のクラスで真ん中だった。だが、大学で友達になった子は、皆高校でトップクラスだった。医学部を受験して、浪人して失敗した医者の息子もいた。卒業直前まで同じ歳だと思っていたら免許証を見せてもらって浪人して年上だった子もいた。わかった後も「先輩と呼ぶな」と言われた。ぎりぎりの成績で合格した私は、一般教養では「優」をもらえたが、専門は難しかった。賢い先輩を見つけて去年の試験のコピーを手に入れるのがいいと聞いた。そこで優秀な人が多く入っている薬学研究会に入った。大学祭で食品添加物などのテーマを決めて発表した。合宿もあってテニスなどレクリエーションも楽しかった。年に数回、歓送迎会と称して三宮や須磨でのコンパにも行った。それよりうれしかったのは試験前には先輩の試験のコピーが手に入った。目的達成だ。久しぶりに薬学研究会の同窓会があった。同期が大学の教授になったお祝いだった。皆薬剤師になっていたが職種はいろいろだった。薬局を経営している社長、製薬会社の役員、病院の薬剤部長など優秀だった友達は大学院まで行って偉くなっていた。他にも、ドラッグストアや病院に勤めていたり、保健所で働く公務員、高校の理科の先生、子育てしながら調剤薬局のパート、製薬会社の研究室やMR、卸の会社など様々な仕事の話が聞けた。