コロナを笑いでぶっとばせ  
日高番傘川柳会 柳岡克子
 川柳の句会でおもしろかったエピソードを小噺としてお話させていただいています。
①疫病退散の効果があると言われている「アマビエ」を、私はずっと「甘エビ」と勘違いしていました。甘エビが大好物で「コロナなくなるらしい」と食べていました。アマビエは江戸時代の肥後(熊本)に出現した妖怪で外見は人魚のようで、鳥に似たくちばしがあります。「病がはやったら私の写し絵を人々に見せよ」と言いのこし、海へ消えたとの言い伝えがあります。
 ②私は、新型コロナウイルス感染症で自粛ムードが広がるまでは、講演活動をしていました。学校や団体様に呼んでもらって、90分話をします。私は生い立ちを聞いてもらいたい。参加者は私の話を聞いて元気になっていただける。講演会にはもう一つ重要なポストがいます。それは、講師を選ぶ主催者です。主催者に私を見つけて選んでもらわなければ講演はできません。3者のニーズが一致して講演会が成立します。ところが、コロナ対策ということでソーシャルディスタンスにより3密を避けることになり、集合して講演を聞くことができなくなりました。講師が私ではなく有名なタレントであっても講演会自体がキャンセルになっています。
そこでパソコンやスマートフォンを使ってzoomなどでオンライン講演会というのができるようになりました。大学などではオンラインで教授の授業が聞け、4月からの新入生は一度も大学に通っていないのに授業が受けられるので大学の近くに下宿している意味がないと言う人もいます。私は子ども達の笑顔を間近で見たいのでライブがいいのですが、このままでは、いつまでたっても講演に呼んでもらえないだろうと思いました。オンラインだと参加者は、会場に行かなくても自宅などで聞けます。また、講師は、今まで遠くて行けなかったところでも宿泊もせずに話ができて楽です。主催者は会場を押さえる必要もなく、講師の宿泊費や交通費を節約することができて予算が少なくても開催できます。このように3者がwin・win・winである限り、コロナが収まっても講演会などは大半がオンラインに移行していくと考えられます。私もオンラインで講演ができるように他の人の講演を聞いて勉強をしています。
そこで、夜8時からのzoomの勉強会の申し込みをしました。グループで話もでき顔出しでやり取りできるので楽しいのです。この間、30分前からミーティングIDやパスワードを入力し、zoomを立ち上げた状態で、まだ時間があるからとお風呂に入りました。お風呂から出ようとするとちょうど8時でした。パソコンから「では開始します」と音声が流れています。私は大慌てでお風呂から飛び出てバスタオルで拭きながらパジャマに手を通し、パソコンの前に座りました。その途端「自己紹介をしてもらいます。まず、柳岡さんから」と言われビデオと音声をオンにして話し始めました。私が、夢中になってzoomを楽しんでいるところへ、弟が入ってきました。「お姉ちゃん、何て格好してパソコン見てるん?」その時はじめて風呂上りでズボンをはいていなかったことに気が付いたのです。パソコンの画面には顔しか映っていないのでセーフでした。
 ③私は、4月から和歌山県教育委員会に採用されスクールソーシャルワーカーとして中学校で働いています。ある日、友達が来て年賀状がたくさん来ていることで「顔が広いのね」と言われました。そこで私は「顔が広いとファンデーションがたくさんいるのよ」と笑いました。実際、コロナ対策でマスクをずっとしているので口紅を塗ったところで見えません。マスクにファンデーションが付くのも嫌なので私は、まゆずみとアイシャドウだけで顔の上半分しかファンデーションを塗らない化粧をしています。ある日、校長先生が、いきなり「今日は、卒業写真の撮影をします」とおっしゃいました。撮影の部屋に行くと、カメラマンが「マスクを外してください」と。「あっ!」その時、顔の下半分に化粧をしていないことに気が付きました。