持続可能な社会をめざそう ~SDGs de 地方創生ゲームに参加して~  
わかやま塾 1期生 柳岡克子
 SDGs(エスディージーズ)とはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称で、2015年9月の「国連持続可能な開発サミット」で採択された、No one will be left behind(誰一人取り残さない)を理念として、国際社会が協力して達成する行動計画です。2030年までに貧困を撲滅し、持続可能な社会を実現するための指針として17の目標と169のターゲットが設定されました。
 17の目標は、①貧困をなくそう②飢餓をゼロに③すべての人に健康と福祉を④質の高い教育をみんなに⑤ジェンダー平等を実現しよう⑥安全な水とトイレを世界中に⑦エネルギーをみんなに、そしてクリーンに⑧働きがいも経済成長も⑨産業と技術革新の基盤をつくろう⑩人や国の不平等をなくそう⑪住み続けられるまちづくりを⑫つくる責任つかう責任⑬気候変動に具体的な対策を⑭海の豊かさを守ろう⑮陸の豊かさも守ろう⑯平和と公正をすべての人に⑰パートナーシップで目標を達成しよう。です。
 先日、「まちづくり」や「地方創生」をSDGsの視点で捉えなおすカードゲームを体験しました。参加者は人口数万人のまちの住人という想定で29名が12グループに分かれ、どうすれば地方創生につながるかを考えながら12年後の未来をシミュレーションするゲームです。ゲームは3年を12分で進んでいき、4ターン行ったところで終了となります。
プレイヤーカードには、まちづくりの核となる人物で一次産業従事者やまち工場の経営者、NPOなど様々な役に合わせた個人のゴールが書かれています。例えば、商店主なら、「商店街で地域のつながりを強める」というゴールがあります。ゴールを達成するにはSDGsの17の目標のいくつかのプロジェクトを進めなければなりません。行政機関のグループには1ターンごとに予算が配られ、最適な予算配分を求められます。
 プロジェクトカードは全部で142枚あり、地方創生に取り組む実在する具体的なアクションを題材にしています。プロジェクトの実現には「人資源」「お金」「地域の状況」が必要です。「人資源」とはプレイヤーの持つ人脈です。「プロジェクトカード」や「人資源カード」は、交換してもらったり、売って「お金」を貯めたり、プロジェクトを実行していきます。
 「地域の状況」は「人口」「経済」「環境」「暮らし」という5からスタートした4つのパラメーターで表されます。何もプロジェクトを実行しないでいると、人口は1ターンで1つ減少します。プロジェクトを実行することでパラメーターが増えたり、減ったりするので協力し合って地域のパラメーターを増やし、持続可能なまちを実現するのです。
 私のグループは、保育士のプレイヤーカードが配られ17の目標のうち①と③を実現するために「保育・教育の無償化」というプロジェクトを実現しようとしました。これには3億円の「お金」と「経済」が9のパラメーターが必要でしたが足りませんでした。そこでプロジェクトを④⑧⑩を目標にする「子ども仕事体験プログラム」に交換してもらいました。これには1億円必要で、行政機関に説明に行き、予算の中から補助金をもらいました。ところが、3つの人資源「職人」「公共的団体」「教師」が必要で手持ちに「公共的団体」がありませんでした。そこで他のグループに協力を求め、個人のゴールを達成することができました。すると「人口」のパラメーターが上がり、地域が良くなったと最後に皆で大喜びになりました。このゲームを体験して、将来の社会、まちづくりのあり方を体感することができました。また、情報を共有することで課題解決に立ち向かう連携の必要性を感じました。12分という制限時間の中で喫緊の課題である人口減少は、どんどん進んでいき、素早い判断力と決断力を持ったリーダーシップが必要だと思いました。
 日本では、SDGsをビジネスチャンスととらえ積極的に経営に導入する企業が増えています。活用のメリットは、企業理念を社内に浸透させることで社員が自律的に判断できる強い組織となり、17の目標を結びつけることで社会貢献を社内外にPRすることができます。このゲームを運営できるファシリテーターは和歌山県ではまだ少ないですが多くの人に体験してもらい、活力ある地域になればいいなと思いました。     
  参照:外務省ホームページ・「SDGs de 地方創生」ホームページ