移動支援について ~高齢者の自動車事故に思う~ | ||
御坊市介護保険事業計画策定委員 柳岡克子 | ||
最近、高齢者の自動車の運転による事故のニュースが増えています。交通事故は、被害者も加害者も大きな被害と心の傷を受けます。安全装置の設置義務や自動運転の普及などの議論とともに、運転免許の返納も増えてくるでしょう。俳優の杉良太郎さんが運転免許返納したというニュースが大きく取り上げられていました。 先日、第7期御坊市介護保険事業計画策定委員会があり公募の委員として出席しました。御坊市生活支援体制整備・第1層協議体の構成員もかねていて、そこで「移動弱者への交通支援体制の在り方」をテーマに話し合いました。介護福祉課の職員が三重県熊野市に先進地の視察として行った内容について報告がありました。交通手段なしでは日常生活が成り立たない高齢者が点在している街でした。山間部にはバスもなく、あってもバス停まで遠く、民間の路線バス会社が撤退し、市の福祉バスが週に1~2回無料で運行しています。その後NPO法人が設立されたり、公共交通空白地有償運送事業や乗合タクシーの整備がされました。「市内全域で誰もが自宅から移動できる手段を確保」をモットーにしています。御坊市とは市の規模が違うのですが、今後移動支援のNPO法人の設立や有償ボランティアの養成など参考になることもありました。 私は、平成28年1月、社会福祉士の基礎研修Ⅱの修了論文に御坊市社会福祉協議会の老人クラブを通じて「高齢者の買い物事情」というテーマでアンケートを取らせていただきました。1151名の方から回答を得られ分析しました。買い物は、自らが運転又は家族に乗せてもらう人がほとんどでした。80代の高齢者は徒歩や自転車での買い物が出来る近所の商店街を選んでいます。高齢者で通信販売を利用する人は少ないですが配達のメリットを活かし、カタログや生協の利用があります。自分で移動できなくなった時は、同居の子どもや近くの親族に頼んだり、一人暮らしの方は、子どもが帰省した時に連れって行ってもらいまとめ買いをするそうです。日高郡で利用されている民間の移動スーパーを希望している人は御坊市ではまだ少ないようですが、将来的にはニーズは増えると考えられます。 高齢者や障害者にとって移動と言えば、買い物だけでなく通院も困ります。御坊市は比較的医療機関が多い方で、市外まで行かなくてもいいので助かりますが、御坊市が発行しているタクシー券を利用できる人は限られています。月2回の通院ならすぐになくなってしまいます。今後、移動支援のNPO法人などを設立するとしたら事務局をどこにするか、利用料、交通事故の際の保険やサービスの内容をどうするかが問われます。診療時間はどうするのか、入り口までなのか診療科の窓口まで付き添ってもらえるのか、買い物なら買った荷物を運んでもらえるのかは利用者にとって大きな問題だからです。 私はこの間から、電動車いすを使い始めました。歩道があれば歩道を、なければ右側通行です。高さが低くなるので死角に入りやすく事故には気を付けなければなりません。充電しておくと10キロメートルまで移動でき、最大時速6キロなので早歩きぐらいのスピードです。近所に行くときは、雨の日は困りますが、天気が良ければ爽快です。車とは違った視線で街並みを散策でき、スロープも上がれる力もあり楽です。ただ、重くて私の力では、車に積むことができないので、車には今まで通り手動式の車いすを積んでいます。6月8日9日、東京で開かれた公益社団法人日本オストミー協会の全国大会に和歌山県の支部長として電動車いすで参加しました。広い会場も駅もホテルも手動式なら疲れるのですが、今回はスイスイ移動できました。電動車いすを使うようになると行動範囲が狭くなると思っていませんか?私は、かえって移動が楽になり、これからは遠くへ行くときは電動車いすにしようと思いました。車を運転してきた人には、遅いのでかったるいかもしれませんが、運転免許証の返納後は、自分で好きな時に自由に移動できる電動車いすや電動カートの利用も移動手段としていいのではないかと思います。移動支援については、本人、家族、地域、行政などが協力し合い、様々な角度から議論されて住みやすい街になればいいと思います。 |