成年後見制度を利用しよう  
独立型社会福祉士 柳岡克子
 成年後見制度の利用の促進に関する法律が平成28年4月15日に公布され、5月13日に施行され、平成29年3月24日に成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定されました。事務は、平成30年4月1日より厚生労働省が担当することになりました。
 国の計画では、市町村など中核機関が地域の将来を見据えた全体構想を描き、基本計画を立て、実施機関を設置し、審議会その他の合議制の機関を置くよう求めています。
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより、判断能力が不十分な方々が、悪徳商法の被害にあったり、相続、売買などの法律問題にであったりしたとき、不利益を被らないように保護し、支援する制度です。また、財産管理にとどまらず、その人が自分の望む生活を実現し、生活し続けるために援助することを目的としています。
成年後見人は、家庭裁判所が状況に応じて適任者を選任します。本人の親族以外でも、弁護士や司法書士、社会福祉士といった法律、福祉の専門家などがなれます。
成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」2つの種類があります。
法定後見制度は、判断能力が実際に衰えてから行うことができ、任意後見制度は判断能力が衰える前から行うことができます。
 法定後見制度は、判断能力の程度によって「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれています。
私は、平成23年から、広川町の社会福祉専門学校の社会福祉士科で通信教育とスクーリングと実務研修を卒業しました。その後、社会福祉士の国家試験に合格し、3年かかって基礎研修Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを修了しました。
 今年、2月に独立型社会福祉士養成研修を受講しに東京へ行ってきました。専門職として自らの裁量によって、契約に基づいてソーシャルワークを行うことを業とするための基礎研修でした。そして4月から独立型社会福祉士として「オフィス花まるライフ」を開業しました。地域を基盤にソーシャルワーク実践を行う場合の質及び信頼性の向上を図り、援助を必要とする人々の生活と権利の擁護に寄与することを目的とし、独立型社会福祉士の名簿登録をしました。全国で432人、和歌山県では、2人です。
 開業後、相談だけではなく成年後見の仕事をしたいと思い、5月から5日間、大阪へ通うのは大変でしたが、平成30年度成年後見制度活用の知識・技術を習得するための人材育成研修と名簿登録研修を修了し、「ぱあとなあ」に登録しました。4月時点で全国の名簿登録者数はで7828人、10月に和歌山県で私を含めて4人が登録し56人なりました。
 研修では、大阪社会福祉士会のベテラン成年後見名簿登録者から社会福祉士の専門性を生かした身上監護や権利擁護の視点や最新の課題や動向、事例の研修がありました。また医師から、判断能力のとらえ方について、弁護士から財産管理や家族法(親族法・相続法)の知識を学びました。また、家庭裁判所から手続きの概要や役割、報告書の書き方、不正防止の取り組みを研修しました。最後に修了試験に合格し名簿登録研修を終えました。
 私自身が障害を持っていて、御坊市身体障害者福祉協会の会長をした経験や身体障害者更生相談員や社会福祉法人の第三者委員として福祉の分野にかかわっています。また、今年は、4回目となる5年ごとの介護支援専門員の更新研修を10日間出席し修了しました。御坊市では、第6期介護保険事業計画、老人保健福祉計画策定委員会・地域密着型サービス運営委員会・地域包括支援センター運営協議会の委員をしています。薬剤師会の勉強会にも出席していますので、福祉・介護・医療の連携をしやすい立場にあります。どこにも所属していないので利害関係がなく中立の立場で相談に乗れるところがいいのではないかと思っています。
 成年後見人として新たに仕事をすることができるようになったので相談だけでなく、地域包括ケアシステムの連携を深めていきたいと思っています。