母の付添い  ~「夜明けのエッセー」掲載にあたって~  
ウェブサイト産経WEST
付添い 柳岡克子
産経新聞、8月28日の夕刊の「夕焼けエッセー」と29日の朝刊の「夜明けのエッセー」とウェブサイト産経WESTに私の書いたコラムが掲載されました。
 平成28年5月の「うどんのネギ」と平成29年1月の「父母のメール」と平成29年8月の「新しい足」に続いて今回で4回目となります。
 まず、こちらを読んで下さい。

「母の付添い」
81歳の母が、右手が上がりにくくなったと言うので、車に乗せて病院へ付き添った。母は、車から降りると、後部座席に積んでいた私の車いすを手際よく出して、運転席のドアの前に広げてくれた。私「右手痛くない?」母「大丈夫、上がりにくいだけ」と。
 母は、私の車いすを押しながら、整形外科の診察室に入った。医師は「どうされましたか?」と私に向かって、聞き始めた。私は「患者はこっちです」と母を指さした。「あーそうでしたか」と、医師は私の方を見てまちがったことをわびた。整形外科に車いすで入ってきたら、誰が見ても患者だと思う。
 医師は、あらためて母に「今日はどうされましたか?」と聞いた。
 私は、既往歴や服用中の薬から始まって、今の母の病状を詳しく説明した。医師は、私の言葉を遮るように「ご本人に聞いています」と。私は、母の付き添いの責任を果たそうと雄弁に語った。「付き添いの方はあちらでお待ちください」とまで言われた。このやかましい付き添いは何もんなのだろうと思ったに違いない。
 今まで私の身体のことで、どれだけたくさんの病院に母に付き添ってもらったことか。仮死状態で生まれ、あちこちの病院に入院し、何度も手術を繰り返し、やっと車を運転できるようになった。こんな時こそ親孝行ができる付き添いがうれしかった。これからが恩返しの本番だと思う。病気にはなってほしくないけど、病院の付き添いでも、買い物でもドライブでも付き添ってあげたい。いつでも言うてね。

これは、6月に地元の病院をはじめて受診した時のエピソードです。この日、首のMRIを取ってもらい神経が細くなっているところがあることがわかりました。そこで大きな病院を紹介してもらうことになりました。希望を聞いてくれたので以前日高病院に勤務していた整形外科の麻埴生先生に労災病院で腰の「すべり症」の手術をしてもらっているので労災病院へ紹介状を書いてもらいました。「すべり症」が完治して外来が終わったところでした。なかなか予約が取れず7月になって労災病院へ行きました。その頃には、手が上がりにくいだけではなく、足もしびれていて歩くのも一苦労の状態でした。検査の結果、首の手術が必要ということになりました。首の手術と言われて何となく怖いイメージがありいろんな人に相談すると同じような症状の方がいました。励まし合いながら情報交換しました。まず手術の説明を聞きに私も行きました。首の骨を切って開いて、神経に触っているのをなくして、戻らないように人工骨を入れるそうです。15センチほど切るということで血糖値を下げるため早めに入院しました。大きな手術だったにもかかわらず、回復は早く、あの苦しそうだった母が、すっかり良くなってスタコラ歩けるようになりました。ご心配おかけしましたが元気になり退院しました。医療技術の進歩と医師をはじめ病院の関係者のおかげです。ありがとうございました。
 ということで、ちょうど退院間近に掲載されました。産経新聞を見て心配して下さった皆様にその後の経過と元気になったことの報告をさせていただきます。