突発性難聴はすぐに治療を ~補聴器の世話になることに~  
難聴者 柳岡克子
 平成30年上半期のNHKの朝の連続テレビ小説「半分、青い。」の主人公鈴愛は、小学校3年生の時おたふくかぜのウイルスで左耳を失聴してしまいます。「半分だけ雨が降る。左側はいつだって晴れやね」とけなげに成長し、漫画家になる道をめざすドラマです。
 そんなテレビを先取りするかのように、私は、右耳が突発性難聴になってしまいました。平成23年、10月、御坊市身体障害者福祉協会、ウイズ・ア・スマイル、異業種研鑚会の会長などいろいろな活動を活発にしていました。講演も増えてきて遠方へ行くこともあり緊張していました。多くの人の励ましや子どもたちの満面の笑顔に出会う喜びでいっぱいでした。帰宅してもあれやこれやと気になって布団に入ってもなかなか眠れませんでした。自分では気づいていなかったけれど体は疲れていたのだと思います。ゆっくり体を休ませることができたら良かったと後で思いました。あの頃は日々の生活で精一杯でそんな余裕もなく、「しんどい」と感じる時間もありませんでした。それが「ストレス」というものだと気がついた時は遅かったのです。
 右側の耳から「ジ~ン」と耳鳴りがしました。もしかしたら突発性難聴ではないかと疑いました。11月に入ってやっと耳鼻科へ行く時間ができました。すぐに点滴をしてくれ、入院するよう紹介状を書いてくれましたが予定が詰まっていて毎日の通院での点滴となり、体を休ませることは出来ませんでした。15年前の前回はすぐに入院して点滴治療のおかげで、完治していました。今回は発症から時間が経っていて、元に戻るかどうかわからないと言われました。それからはしばらく通院で点滴をし、その後も薬で治療を続けました。しかし、やはり遅かったのか右の耳の聴力は下がったままです。
 「良いことを聞き、人の悪口など聞かないように」と神様に言われているように思うことにしました。朝ドラの主人公は完全失聴なので補聴器を付けても聞えることはありませんが、わずかでも聞こえるうちは補聴器で、ある程度聞えるようになるそうです。左耳が聞こえるので生活にさほど支障はありませんが、大きな会場での講演会では、マイクに声が拾えなかったりスピーカーの向きによっては聞こえにくいときがあります。近くの会話でも低い音が聞こえにくいので男性の声などはボソボソと雑音になり「えっ!」と何回も聞き返して失礼をしてしまいます。そこで補聴器を付けることを考え始めました。生まれつき手足に障害があり、潰瘍性大腸炎という難病となり、オストメイトという障害者になり、もうこれ以上障害を背負いたくないと思っていました。しかし、活動に支障が出始め大事な内容を聞き逃してはいけないと思い、この度思い切って補聴器を買いました。
 手足の障害は治ることはないけど、車いすを使えば歩くことができます。視力も弱いけど眼鏡で補うことができるのだから、聴力も補聴器でカバーできるならすればよかったのです。そういう発想を思いつくのに7年もかかりました。「きっと良くなる」と思いあきらめきれなかったのが原因です。今はイヤホンを付けてスマホの音楽を聞いている人が巷に大勢いるのだからちょっと大きなイヤリングと思えば、違和感がないのですが抵抗があったのです。
 実際、補聴器を付けてみて、テレビの音量が大きく設定されていたことがわかりました。小さく設定を変えても聞えたので、もっと早く補聴器を使えばよかったと思いました。
 平成29年12月定例会において和歌山県手話言語条例が成立し、平成29年12月26日、公布・施行されました。しかし、中途失調の方が手話を覚えるのは大変です。私は前回の発症の時、手話を習いましたが、指が曲がっていてまっすぐではないのでちゃんとした表現ができないのであきらめました。要約筆記も習いましたが、OHP からパソコン入力方法が切り変わり、私のタイピングが会話の速度についていけなく、ボランティア養成講座は修了したものの実践できていません。御坊市身体障害者福祉協会の会長も引退しましたが何か聴覚障害者の役に立ちたいと思っていたところ、和歌山市がMyコミュニケーションカードを作成したという情報を入手しました。これは、自閉症、知的障害者、聴覚障害者、精神障害者、外国人等で自分の意思を相手に伝えることが難しい方が、イラストを指して、相手とコミュニケーションをとるためのカードです。配布は和歌山市民対象ですがホームページからイラストはダウンロードできます。連絡先は、和歌山市役所福祉局 社会福祉部 障害者支援課 〒640-8511和歌山市七番丁23番地、電話:073-435-1060 ファクス:073-431-2840 素敵なカードなので御坊市も作成できたらいいなと思いながらまずはお知らせです。