なつかしの刑事ドラマ ~Gメン'75と太陽にほえろ~  
テレビっ子 柳岡克子
 小さい頃からテレビが大好きだった私は、TBS土曜夜9時からのテレビを見ていました。「8時だよ!全員集合」が終わった後もあくる日が日曜日ということで夜更かししていました。私が幼稚園の頃から放送していた「キイハンター」を父が見ていたこともあり、まだ内容がよくわからないにもかかわらず悪い人をやっつけるという勧善懲悪をおばあちゃんが見ていた「水戸黄門」とともに好きになりました。千葉真一と野際陽子が出会って結婚したきっかけがこの番組で、若い谷隼人が格好よかったです。野際陽子が歌う主題歌「非情のライセンス」は今でもカラオケで歌えます。黒木鉄也を演じていた丹波哲郎はこの時間帯の顔となり、「アイフル大作戦」、「バーディ大作戦」、「Gメン'75」へと続きます。
 「Gメン'75」が始まったのが、1975年(昭和50年)で私が小学5年から高校2年まで7年間(355回)放送していました。陽炎が立ちこめる中、メンバーが滑走路を横一列に歩くオープニングのセットが印象的でした。「タイトルバックはどこで撮影したの?」と問いただして困らせましたが、海上自衛隊館山航空基地で撮影されたことが後でわかりました。テーマ曲は「ハードボイルドGメン'75、熱い心を強い意志で包んだ人間たち」という芥川隆行のナレーションで始まり、しまざき由理が歌うエンディングの「面影」は私の18番です。
 キャストは、黒木警視を丹波哲郎、関屋警部補を原田大二郎、草野刑事を倉田保昭、津坂刑事を岡本富士太、響圭子刑事を藤田美保子、山田刑事を藤木悠、小田切警視を夏木陽介が演じる104話までのスタートメンバー。第2シリーズからは、関屋警部補に代わって立花警部補を若林豪、津坂刑事に代わって中屋刑事を伊吹剛、第3シリーズからは田口刑事を千葉裕、Gメンガールとして、響圭子刑事を藤田美保子、速水涼子刑事を森マリア、マリコ・寺岡刑事をセーラ・ロウエル、津川螢子警部補を夏木マリ、吹雪杏子刑事を中島はるみ、賀川陽子刑事を范文雀、津村冴子警部補を江波杏子が演じるなど花を添えました。特に草津刑事が大活躍する香港シリーズが印象的でした。
もう1つ思い出深い刑事ドラマといったら、1972年(昭和47年)に始まった日本テレビ金曜夜8時からの「太陽にほえろ」です。後半はビデオがなかったので私が中学3年(昭和55年)から始まったTBSの裏番組「3年B組金八先生」を見始めたので見ていないのですが、1986(昭和61年)までPART1が707回も続きます。
 七曲署という警察署の捜査第一係の物語で刑事はそれぞれニックネームで呼ぶ親しみ深さがありました。また、殉職などの亡くなり方が印象的でした。石原裕次郎「ボス」藤堂俊介はデスクで指揮を執ります。露口茂「山さん」山村精一は落としの「山さん」とも呼ばれ、取調べの技術は数多くの難事件を解決に導きます。拳銃密輸事件を解決し、報復に出た暴力団組員に夜道で撃たれます。竜雷太「ゴリさん」石塚誠は射撃の腕は実力があり、ライフル銃での狙撃も任されました。ろう者の麻生晴子(水沢アキ)と出会い婚約しましたが、覚せい剤中毒者の凶弾に倒れ、病院へ搬送中の救急車内で息を引き取ります。下川辰平「長さん」野崎太郎は、交番勤務からのたたき上げで面倒見のいい人柄ゆえ人情味あふれています。小野寺昭「殿下」島公之は、爆発物の処理や機械類の扱いなどを任されました。センターラインをオーバーしてきたトラックを避けようとして崖から転落、爆発炎上し死亡するという殉職ではない死に方でした。萩原健一「マカロニ」早見淳は、三つ揃いで身を固めた風貌に銃を提げた姿がマカロニ・ウェスタン風でした。小銭狙いの通り魔に刺されて死亡します。その後主要メンバーは変わらず、「マカロニ」に続く刑事が変わっていきます。松田優作「ジーパン」柴田純は、自分が守った男にエレベータで撃たれ殉職します。勝野洋「テキサス」三上順は、拳銃密造グループの取引現場に乗り込んで、銃撃戦で殉職します。宮内淳「ボン」田口良は、女性をかばい被弾。沖雅也が演じる「スコッチ」滝隆一。木之元亮「ロッキー」岩城創。山下真司「スニーカー」五代潤。神田正輝「ドック」西條昭。渡辺徹「ラガー」竹本淳二。三田村邦彦「ジプシー」原昌之。世良公則「ボギー」春日部一。地井武男「トシさん」井川利三。長谷直美「マミー」早瀬令子。又野誠治「ブルース」澤村誠。
 懐かしい名前が並んでいますが、私は、「太陽にほえろ」のサウンドトラックを持っています。一人ひとりの刑事が走るシーンなどにかかるテーマ曲があり、聞くだけでシーンがよみがえってきます。
 CDだけでなく動画があれば、携帯電話のなかった時代に、刑事が公衆電話に10円玉をポケットから出して入れ、ダイヤルを回すという今のドラマでは見ることができない映像を鑑賞する醍醐味も味わいたいと思います。