佐世保から平和を祈る  ~トラブルの中の幸運~  
和歌山県防衛協会青年部会 柳岡克子
 和歌山県防衛協会に入会して、青年部会であちこち見学させてもらいましたが、50歳で卒業となりました。全体会での活動は継続しますが、せっかく仲良くしていただいた皆様と一緒に若いエネルギーをもらえなくなると思っていました。そしたら卒業の歳が55歳に延長され出戻りみたいに又参加させていただけることになりました。
 3月23・24日、長崎での研修に母と参加しました。関空まで車で行き、駐車場に停めて長崎空港までピーチで飛ぶ予定でした。ところが、鹿児島と宮崎の県境にある霧島山・新燃岳が3月1日に噴火し、噴煙や降灰の影響で航空機の整備に時間がかかり、出発が2時間遅れました。長崎とはだいぶ離れているのにと思いましたが安全のためということで仕方ありません。
 空港から大急ぎで佐世保までバスで移動し、海上自衛隊佐世保資料館(セイルタワー)に着きました。17時閉館の30分前でした。ここは、 明治31年、海軍士官の集会所として建築された佐世保水交社の一部を修復し、7階建の新館を増設した旧海軍の遺産を継承する艦艇史料館です。映像を見る時間はありませんでしたが、旧海軍や海上自衛隊の艦艇模型や各種史料として展示され、歴史や活動などがわかりやすく、すべての階を大急ぎで解説していただきました。その後、「日本夜景100選」にも選ばれている弓張岳に移動し、 市街地や米軍基地、佐世保重工業のドッグ、少し遠くに南九十九島などの佐世保の大自然を堪能しました。懇親会は「雑魚屋」という居酒屋で地元の貝や海老など魚介類を楽しみました。
 24日、倉島岸壁にて護衛艦「さわぎり」に乗せていただき艦艇を見学しました。せっかく佐世保へ来たのだから「ビッグマン」というバーガーショップで佐世保バーガーを食べました。その後、三菱重工長崎造船所資料館に移動しました。長崎造船所初の巡洋戦艦「霧島」をはじめ戦艦「日向」「土佐」「武蔵」を建造した時代の資料も数多く展示され見ごたえのある施設でした。
 長崎空港に到着したのが搭乗手続き締め切り10分前で車いすの私は一番先に並ばなければなりません。実は、長崎在住のFacebook友達とはじめて対面することを模索していました。しかし宿泊は佐世保で行程が立て込んでいて、帰る出発の空港で会いましょうということになりました。ところがその方は空港の駐車場が込んでいて電話をもらった時、私は、会えないと思い手荷物検査を通っていました。あきらめ半分で搭乗口に行くと出発が遅れているとのこと。すぐに戻ったら、手荷物検査の入り口に来てくれていて、「来てくれてありがとう」と言葉を交わし一瞬でしたが会うことができました。初めて会ったとは思えないぐらいの感動でした。
 いい天気に恵まれ、感動とともに関空へ到着しました。全ての行程を終え関空の駐車場から出る時、カードを抜くのを忘れました。それで戻って再発行の手続きをして帰宅しました。自宅についてほっとしたのもつかの間、カードケースがないことに気が付きました。かばんをひっくり返し、服を脱いですべてのポケットを探しましたがどこにもありませんでした。駐車場のカードの手続きの際、身分証明書を出してかばんに入れたはずのケースが入ってませんでした。私は、だんだん血の気が引いていくように落ち込んでいきました。ケースには、ポイントカートやサービス券はともかくとして、銀行のキャッシュカードや診察券と一緒に健康保険証など大事なものが入っていました。旅の疲れもあり早めに布団に入りましたがどこでなくしたのか考えていると眠れませんでした。再発行の手続きであちこち行かなければならないなど考えていたら朝になりました。小さいケースだったので広い空港で落としていても見つからないだろうとあきらめながら空港へ電話しました。「届いていますよ」と。感激して涙が出てきました。拾ってくれた方に感謝するとともに日本は素晴らしいと改めて思いました。行きは飛行機が遅れたけれど、セイルタワーの見学ができ、帰りは遅れたおかげで友達に会えました。カードケースも戻って本当に幸運な思い出深い研修となりました。