捨てられない大掃除  
遺品整理士 柳岡克子
 年末になると、大変なのが大掃除。普段からきれいにしておけば楽なのに、忙しさにかまけてついいい加減にしてしまっています。衣替えもそこそこに寒くなれば引っ張り出して、脱いでも掘りっ放しで部屋は服の山になっています。
 そんな時、遺品整理士の更新の書類がきました。2年前に合格して仕事もしてないので手続きを辞めようと思っていました。しかし、最近独居老人が増え、身寄りがないまま亡くなるケースが社会福祉士会でも取り上げられて、成年後見の制度を勉強しているところなので必要になった時のために更新しました。
 遺品整理士とは、故人の部屋の片づけ、清掃、不要品の処分などの遺品整理は、これまでご遺族の方の手で行われることが一般的でした。しかし、現代のライフスタイルにおいては、時間的にも人手の面でも、ご遺族の力だけでは支えきれないのが現状です。こうした社会背景を受け、遺品整理業の事業者数も年々増えています。
わが家は、父が生ごみ堆肥化推進グループふるさと倶楽部の役員をしているので、ゴミの分別にうるさいです。弟も産業廃棄物処理業者で働いているので、缶ジュースを飲みながらも「これはアルミ、こっちはスチール」とくわしく説明してくれます。(どうでもえ―けど)でも、私と母は、物を捨てられない性格です。いつも仲良しの家族ですが、私たちが大切にしているものを父が捨てたことで騒動になります。そんな父も会の役をいくつもしているので自分の会の書類は大切だと言います。弟も昔撮ったVHSのビデオテープやかけるレコーダーもないカセットテープを山ほど押し入れにためているのを見ました。時間ができたらCDやDVDにすると言っていますが、いつのことやら。誰しも他人から見ればゴミでも本人にとっては大切なものです。その時使わないものでもいつか役に立つときが来ると思って保管しています。実際、置いていてよかった。買わなくてもよくて助かったことは多いですが、そんなことをしているとどんどん物がたまってきます。
 太って着られなくなった服もタンスの奥にしまっていました。今年はダイエットに成功し、10キログラムやせたので、タンスに眠っていた服を引っ張り出して、「入った。着れた」と喜んでいます。しかし、家族の人数を越えるコップやお皿、景品でもらったそろわない器など食器棚の出し入れに苦労するぐらいです。お客さんが来た時に必要だからと母は言いますが、お客さんが来ても座ってもらえるスペースがないぐらい物があふれています。書類も所属している団体ごとに封筒に入れているものの何年も前からたまっています。年末は掃除をしたいと思いますが、足の踏み場がないので、ルンバも進まないので買えません。
 そんな時、友達が整理収納アドバイザーの資格を取ったという話を聞きました。そこで家に来てもらって話を聞きました。ただかたづけるのではなく今必要か不必要か判断して、1年以上使わないものを段ボールに詰めて、いきなり断舎離ができないのでとりあえず納屋の別の場所に置くことですっきりしました。そして手伝ってもらって、本棚から食器棚、押し入れと順番に整理してもらいました。当分使わなくなっても捨てられるかどうかわかりませんが、とにかく今必要なものだけを手近に置く事にしました。おかげで部屋はすっきりして良い正月が迎えられそうです。性格もあるので、私も母もいつまでこの状態を維持できるかどうかわかりませんが、父も弟も大喜びです。
 親が生きているうちにある程度整理しておいてもらわないと遺品の整理となると難しくなると思いました。遺品整理士としては恥ずかしい限りですが、整理収納アドバイザーのおかげで部屋がかたづいてよかったです。