女性が活躍する社会をめざして
  ~白浜町ITビジネスオフィスを見学して~
  
和歌山イコール会議 柳岡克子
 地域を元気にしようと活動する和歌山県内の女性団体「和歌山イコール会議」(松原敏美代表)が9日、田辺市のビッグUで開催されました。設立して5年目の総会と記念事業としてパネルディスカッション「生き方いろいろ、聞いて話して元気UP」がありました。
 和歌山イコール会議は、和歌山県男女共同参画センター主催で開催された交流会をきっかけに、県内の様々な分野で活動する女性や、趣旨に賛同する女性たち130人が集まり、2013年12月に設立しました。男性も女性も元気にいきいきと暮らす和歌山をめざして、会員相互にエンパワメントしながら、ネットワークを活かし女性の力を発揮しようと活動を開始しました。現在、「防災」「地域づくり」「働き方」「暴力防止」「子育て・介護環境」「多様な生き方応援」の6部会とプロジェクトチームを設け活動しています。
 午前は会員総会と昼食交流会がありました。午後からは、白浜町議の水上久美子さんが進行役を務め、オープニングでは堅田凱子さんのストーリーテリングで宮子姫にまつわる昔話など3編聞きました。約80人が出席する中、金川めぐみ副代表が「4期の活動報告」として、それぞれの部会が県内全域で元気に地域発信している内容を説明してくれました。来賓の地元の真砂充敏田辺市長とアドバイザーとして同席いただいた仁坂吉伸知事から「イコール会議には素晴らしい多様なメンバーがいるなぁ」と大きなエールをいただきました。その後、多様な分野で活躍する5人の会員がパネリストになり、元気な和歌山を実現するネットワークづくりについて貴重な情報を頂きました。若いお母さんでもある上田茜さんはママカレッジの実施にクラウドファンディング事業を立ち上げて資金を集め、講座を開催しました。医師の榎本多津子さんは県の男女共同参画基本計画の席策定部会長として3000人のアンケート調査を実施、結果から基本計画の考察をした話でした。須佐眞理子さんは多様な生き方応援部会長として、これまでフィールドワークで多様な生き方をしている素晴らしい方々に出会い調査した報告でした。松下泰子さんは課題を抱える若者の自立支援に取り組むNPO法人ハートツリーを立ち上げ、ひきこもりの子ども達の支援をしています。今は、田辺市議を辞め、カフェも開業してお菓子作りなど利用者さんの就労支援もしています。村山淳子さんは自宅でカフェをオープンし、女性が笑顔で元気だったら社会も良くなるので情報発信をしていきたいと話していました。
 翌10日には南方熊楠記念館見学班と押し花キーホルダーの制作班に分かれ、私は押し花キーホルダーを作りました。その後、白浜町ITビジネスオフィスに2015年から開設しているセールスフォース・ドットコム社白浜オフィスを視察しました。地方創生のため、企業誘致に力を入れる地方自治体も増えてきました。総務省は、2015年度より「ふるさとテレワーク」を推進しています。これは、都市部の企業が一部の仕事を地方のサテライトオフィスやテレワークセンターに移転し、地方でも都市部と同じように働ける環境を実現するものです。地方への人や仕事の流れを促進することで、柔軟な働き方の実現や地元産業への刺激など、地方創生・地域振興を達成します。
 2015年、総務省ふるさとテレワークの採択を受け設立された白浜町ITビジネスオフィスは、元生命保険会社の保養所を県の補助金で買い取り、改修し、6社入っています。サテライトオフィス長の吉野隆生さんは、オフィス設置にあたりいくつかの候補地から最終的に白浜町を選んだ理由の一つに、羽田空港から南紀白浜空港まで約1時間、1日3便往復運行という交通の利便性をあげています。さらに、白浜町は比較的穏やかな気候で、海水浴場や温泉を有する観光地としても有名です。インターネットやメディア取材では、海が見えるリゾート風オフィスとしてその景観の良さが話題になっています。サテライトオフィスを開設して現在成功例として全国からの視察が多く、2年間で600名余りの訪問者を数えるそうです。
 都心の通勤ラッシュがなく通勤時間を大幅に短縮できるので、ゆとりある時間を子育てや趣味、自己投資に充てることができ、ワーク・ライフ・バランスの改善に繋がります。地域への恩返しをしたいと考え、IT人材の育成に取り組んでいます。10年後、20年後に貴重なITの人材になるべき子どもたちに、子ども向けのプログラミング教室を開催しています。白浜スタッフは地域行事やボランティア活動にも参加しています。このオフィスで働くのは男性6名、女性4名の10名で、吉野さんは家族で白浜に移住し他の社員は3ヶ月で東京本社と入れ替わります。現在障害のある方はいないそうですが、パソコンでのデスクワークなので、ぜひ障害者の雇用も考えてほしいとお願いしました。