障害者の願い  ~障害別の対応を~  
(公社)日本オストミー協会和歌山県支部長 柳岡克子
 8月27日、和歌山県障害児者父母の会連合会主催の親子のつどいが例年、那智勝浦町のホテル浦島で行われていましたが、今年はみなべ町の南部ロイヤルホテルで開催されました。私が小学生の頃、仮谷志良知事にプールで抱っこしてもらった遠い記憶があるぐらい前に母と参加して以来でした。父が御坊市障害児者父母の会の会長になってしばらくして和歌山県障害児者父母の会連合会の副会長になり親子のつどいの実行委員長になりました。
 父母の会は子どもに障害がある親の会で親同士が交流することでいやされたり、慰め合ったり、励まし合ったり、一致団結して行動したりしています。親子のつどいは障害のある子どもと共に夏休みに楽しいひとときを過ごしてもらおうという企画で、昭和49年11月に加太少年自然の家で開催されて今年で44回目となります。県下から約600人の障害児者や保護者、施設関係者などが集まり音楽療法やビンゴゲームで盛り上がりました。始まった頃は私のように子どもだった障害児も中高年になってしまいました。親も高齢になって同伴できなくなったりお亡くなりになったりしています。子どもの障害は身体、知的、精神と様々で親の一番の願いは、親亡き後の子どもの将来の生活でした。
 しかし障害が重く、外出もできない重症心身障害児者を守る会が「最も弱いものをひとりももれなく守る」を基本理念に昭和39年に発足し、平成11年に和歌山県支部が設立されました。神奈川県津久井のやまゆり園での事件は悲しいことでした。被害者は声をあげられなくても命ある限り親が代弁して幸せに生きていく権利があるのです。和歌山病院の重症心身障害児者病棟を利用する障害者も多く、平成28年4月に移転し3階4階に病棟、5階に療育訓練室ができたことを喜んでいます。守る会では、療育の質とQOLの向上を願っています。
 精神障害者も当事者より、家族が支え合ったり、情報の共有のためあちこちに家族会があります。地域での生活や社会復帰と自立、共同作業所の設立などを目標にしています。
 9月10日和歌山県身体障害者福祉大会が和歌山市民会館で開かれました。私は、御坊市身体障害者福祉協会の会員になった時から参加していて、御坊市の会長として和歌山県身体障害者連盟の理事だった時は主催者席に座りました。今回初めて(公社)日本オストミー協会和歌山県支部の支部長として来賓席に座らせていただきました。仁坂知事と尾花和歌山市長の隣でした。こちらの会は身体の障害なので、肢体、聴覚、視覚に障害があり、大会での要望は、多目的トイレの充実、障害者用駐車スペースの拡充、災害対策、就労支援、障害者への理解の啓発などです。同じ身体の障害でも患者会として別組織があって独自の活動をしている会が主催の和歌山県身体障害者連盟とは別に来賓として参加しています。私が支部長を務める人工肛門・人工膀胱を装着しているオストメイトの会では災害時の装具の備蓄や高齢化したオストメイトのストマケアが心配です。喉頭摘出を受けた和喉会では、第2の声を取り戻すため食道発声法や電動式人工喉頭の使用と社会復帰がテーマです。中途失聴・難聴者協会では、人生の途中で聞こえなくなった人の集まりで要約筆記者の養成を希望しています。腎友会は、人工透析をしている人の会で県下31施設で透析を受ける患者で構成されています。災害時、命と暮らしを守るために国や県とのネットワークの構築と臓器移植の普及を願っています。脊髄損傷者協会は、褥瘡(床ずれ)や感染症、リハビリなどの相談が多いそうです。
 連盟にも加盟している一般社団法人和歌山県聴覚障害者協会は、大正11年に発足した日本聾唖協会和歌山部会にルーツがある古い会です。昭和33年に改称し、45年に「手話サークルたんぽぽ」を立ち上げるなど活動しています。今年4月からビッグ愛に視聴覚障害者情報提供施設が開設されたことは素晴らしいことです。昨年障害者差別解消法が施行されたのにともなって和歌山市では手話言語条例、障害者差別解消条例が可決されました。9月議会では4月の橋本市に続いて日高川町でも手話言語条例が可決されるなど社会参加への理解のある行政もあります。残念ながら御坊市では「国による手話言語法の制定が先だ」と議員の一般質問に対して回答がありました。見えない、聞こえないの2重の障害を持つ盲ろう者友の会では、通訳者の養成とコミュニケーションができる施設の整備を要望しています。
 この他にもさまざまな障害者団体があり、団体に所属していなくても障害者は、障害がそれぞれ違うので悩みや願いが皆違います。障害があっても1人1人の命が尊重され、幸せに暮らせることを願って皆で分かち合い支え合える社会を望んでいます。