障害者の全国大会に参加して  
(公社)日本オストミー協会和歌山県支部 支部長 柳岡克子
 5月31日、第62回日本身体障害者福祉大会ぎふ清流大会が岐阜メモリアルセンター・で愛ドームで開催され、御坊市身体障害者福祉協会の会長を引退後久しぶりに全国大会に参加しました。障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合い共生する社会の実現を目的とした障害者差別解消法が施行されて1年がたちました。障害者権利条約のスローガン「私たち抜きに私たちのことを決めないで」のもと大会スローガンとして「ユニバーサルデザイン2020行動計画の完全実施を求めよう」「災害時の障害者支援体制を確立させよう」を宣言しました。また、「心のバリアフリーの推進を図ろう。障害の社会モデルの考え方を全国に広げよう。障害者差別を禁止する条例を全国に制定させよう。地域の相談支援体制に身体障害者相談員を活用させよう。会員減少に歯止めをかけ、組織の活性化を図ろう」との大会決議をしました。大会では、日本身体障害者団体連合会の阿部一彦会長から55名の表彰があったほか挨拶などの式典があり、全国から2,500人の障害者が集い、和歌山県からはバス1台30人が参加しました。
 6月12日、第29回公益社団法人日本オストミー協会全国大会がさいたま市の大宮ソニックシティで開催されました。公益社団法人日本オストミー協会は、オストメイト(人工肛門・人工膀胱保有者)が安心して暮らせる社会を目指している障害者団体です。全国にオストメイトは約20万人いて、会員は7917人。オストメイトの社会復帰とQOL(生活の質)向上を図るため幅広い活動をしています。昨年5月の総会で和歌山県支部の支部長となり今回初めて参加しました。前日の11日から大宮に入り、支部長会議に出席しました。
 支部長会議では、「訪問看護師と介護職向けストーマケア研修会の企画と運営」と題して、名古屋大学大学院医学系研究科の前川厚子看護師の話を聞きました。オストメイトの老後の不安軽減と終活対策という重要なテーマでした。本人や家族が加齢、認知機能の低下、病態の悪化などからケア不足になるなど在宅でのケアサービスを必要となった時、介護福祉士、ヘルパーなど医療職以外の人による排泄ケア、ストーマ管理が可能かどうかです。(公社)日本オストミー協会は、平成12年に厚生労働省医政局医事課に①ストーマ装具の交換を医行為とした法解釈の変更②介護職に対するストーマケア研修の実施③看護職と介護職連携によるオストメイトの在宅介護を主とする要望書を提出しました。その後度重なる折衝の末、平成23年に、医事課長より「ストーマ装具の交換は原則として医行為に該当しない」との従来の法解釈を変更する回答を得ました。それで日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会(JSSCR)が講義と実習合わせて3時間の研修カリキュラム策定し、修了することでヘルパーや介護福祉士によるストーマケアが可能となりました。研修カリキュラムを実践した5つの支部の発表とこれまでの経緯の報告がありました。
 懇親会では、支部長デビューの挨拶をさせていただきました。また、装具のブースでは、最新のパウチや皮膚保護剤・ヘルニア防止ベルト・テープ・オストメイト用トイレ等の展示があり、技術の進歩に驚きながらメーカーさんの話に聞き入ってしまいました。
 あくる日の大会では式典や総会があり、午後からタレントの中井美穂氏と高石道明前会長の「ストーマとの生活を経験した私にできること」という対談がありました。腹膜炎を患い2003年ごろ1年間、ストーマを装着していたことを「徹子の部屋」という番組で告白したことや当時の苦労などを話してくれました。
 2つの障害者の全国大会に参加して、障害によってそれぞれ悩みが違うこともわかりました。オストメイトとしては、まだまだ新米で、先輩諸氏のご苦労を聞かせてもらう有意義な研修となりました。
 最後に、御坊市役所に念願の障害者用トイレを設置していただきましたこと、この場をお借りしてお礼申し上げます。