点字図書館、聴覚障害者情報センター開所式に参加して  
和歌山県身体障害者連盟 評議員 柳岡克子
 4月1日から和歌山市の県民交流プラザ和歌山ビッグ愛(和歌山市手平2)の中に視聴覚障害者情報提供施設がオープンし、4日の開所式に参加しました。情報のバリアフリーをめざし、様々な面で社会参加をサポートする施設です。
 3月までは和歌山市駿河町の和歌山県県身体障害者総合福祉館の中にありましたが、建物の老朽化と耐震性の問題から移転を決め、県と話し合いを進めてきました。
 ビッグ愛の5階には目の不自由な人に向けた「和歌山県点字図書館」(延べ面積360.52m2)が設置され、ボランティアの人たちが小説や雑誌を点訳した点字図書およそ9,600冊や、音声を収録した録音図書およそ4,800巻を所蔵しています。そのための点訳など各種ボランティアの募集を随時実施しています。また、個人的な手紙から本の製本まで様々な用途に対応した点字製版機が備えられています。画期的なのは、インターネットの情報システムで、全国の点字図書館をネットワークで結び、必要な図書を検索でき、点訳してほしい図書のリクエストや図書の貸し出しも受け付けられることです。
 6階には耳の不自由な人に向けた「和歌山県聴覚障害者情報センター」(延べ面積308.47m2)が設置され、手話通訳した録画メディアの制作や貸し出しを行うほか、手話を録画したり字幕を入れた映像を編集できるスタジオや相談室を備えています。さらに、手話通訳や要約筆記をする人の養成・派遣などをしたり、研修会の開催やバリアフリー映画の上映なども予定しています。交流サロンには、難聴者が話を聞き取りやすいよう床下に磁気ループを設置したり、筆談のためのホワイトボード状の机を設けるなど、配慮がなされています。
 運営は指定管理者となった和歌山県身体障害者連盟に引き続き委託しています。
 開所式で、和歌山県の仁坂吉伸知事が「県としても中身を充実させ、障害者が自己実現を可能にできる施設にしたい」と挨拶してくれました。また、県身体障害者連盟の渋田年男会長は「情報弱者と言われる視覚や聴覚の障害のある人たちに向けた一番の情報発信基地となるよう施設の運営をめざすとともに、県民に障害者への理解を深めてもらえる場所にしたい」と期待を込めました。
関係者への施設案内もあり、施設を見学した、県視覚障害者福祉協会の北口豊副会長は「視覚や聴覚の障害者にとって、施設の充実は喜ばしいこと。ビッグ愛は利用者が多いので、障害者の有無を問わず情報提供施設の存在を知ってもらえます。点字図書館で、機械の取扱説明書のような一般的に置いていないものを音声にしてもらおうと思います」と話していました。
 開所式は、和歌山県が主催で行われ、教育委員会、県立図書館、県立盲学校、一般社団法人聴覚障害者協会、県視覚障害者福祉協会、県中途失聴・難聴者協会、NPO法人和歌山盲ろう者友の会、和歌山県網膜色素変性症協会、和歌山手話通訳問題研究会、和歌山県手話サークル連盟、和歌山要約筆記会、和歌山パソコン要約筆記フレンズ9、点訳グループ「みちしるべ」、和歌山グループ声、(特非)全国要約筆記問題研究会和歌山県支部など視聴覚に関係する団体のほか、和歌山県障害児者父母の会、和喉会、NPO法人和歌山県腎友会など身体障害者関係団体が招待されました。私は、(公社)日本オストミー協会和歌山県支部の支部長として参加させていただきました。委託事業者の連盟の評議員ではありますが、今回は会長、副会長、事務局へのお披露目でした。近々、理事会、評議員会で見学の機会があるでしょう。駅に近く、駐車場も広く、バリアフリーでとてもいい所だと思いました。
 施設の開館時間は、 開館は祝日や年末年始を除く水曜日以外の月曜日から土曜日の午前9時~午後5時45分。県点字図書館(073・488・5721)、県聴覚障害者情報センター(073・421・6311)