スターチスを全国へ
   ~総活躍社会をめざして認知症を地域で支える~
  
認知症キャラバンメイト 柳岡克子
 2015年10月に発足した第3次安倍晋三改造内閣で、安部首相自身が次の3年間を「アベノミクスの第2ステージ」と位置付け「一億総活躍社会」をめざすと宣言しました。具体的には、同時に発表したアベノミクスの新しい「3本の矢」を軸に経済面は「希望を生み出す強い経済」により東京五輪が開催される20年頃にGDP600兆円を達成。子育ては「夢をつむぐ子育て支援」により希望出生率を1.8(現在は1.4前後)まで回復。社会保障は「安心につながる社会保障」により団塊世代が70歳を超える20年代に介護離職ゼロを実現をめざしています。一億総活躍社会とは「女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、 障害や難病のある方も、家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが活躍できる、いわば全員参加型の社会」であるとしています
 御坊市では、第4次御坊市総合計画の中の高齢者福祉の充実が事業計画の中にあり、実施計画では認知症の支援の充実があります。また、御坊市まち・ひと・しごと創生総合戦略の基本目標4では認知症施策を地方創生の重点項目にあげています。そこで平成28年度からごぼう総活躍のまちづくりプロジェクトとして実行委員会を立ち上げ、市民誰もが「総活躍分の1人」となれる社会をめざし安心・安全に暮らせるまちづくり計画しています。
 施策は、国の認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)に照らし合わせて担当課の枠組みを越えて連携しています。認知症の人を単に支えられる側と考えるのではなく、認知症の人が認知症とともによりよく生きていくことができるような環境整備が必要です。新オレンジプランの基本的考え方は、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現をめざしていて次の7つの柱を示しています。①認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進 ②認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供 ③若年性認知症施策の強化 ④認知症の人の介護者への支援 ⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進 ⑥認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進 ⑦認知症の人やその家族の視点の重視です。
 御坊市では、名田地域で産官民学連携による取り組みが全国的に注目されています。幼稚園・小中・国立工業高等専門学校が立地するコンパクトエリアに在宅介護支援センターがあり、認知症の人との交流や防災をテーマに災害時の連携や防災グッズ・介護用品の研究開発などが進められています。
 私もキャラバンメイトとして認知症サポーター養成講座の講師をさせてもらっていますが、「認知症サポーター」とは、認知症に関する正しい知識と理解を持ち、地域や職域で認知症の人や家族に対してできる範囲での手助けをする人を言います。市民の皆が講座を受けてオレンジリングをもらい認知症サポーターになっていただきたいと思います。
 また、地域や家庭で次のような事に気が付いたら、早めに受診や相談をお勧めします。
 公益社団法人認知症の人と家族の会の「家族が作った認知症・早期発見のめやす」によると
●今切ったばかりなのに電話の相手の名前を忘れる●同じことを何度も言う・問う・する●しまい忘れおき忘れが増えいつも探し物をしている●財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う●約束の日時や場所を間違えるようになった●慣れた道でも迷うことがある●料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった●新しいことが覚えられない●話のつじつまが合わない●テレビ番組の内容が理解できなくなった●ささいなことで怒りっぽくなった●周りへの気づかいがなくなり頑固になった●自分の失敗を人のせいにする●「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた●ひとりになると恐がったり淋しがったりする●外出時持物を何度も確かめる●「頭が変になった」と本人が訴える●下着を替えず身だしなみを構わなくなった●趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった●ふさぎ込んで何をするのも億劫がりいやがる
 御坊市が日本一の出荷量である「スターチス」の花言葉が「変わらぬ心」「途絶えぬ記憶」ということでJA紀州の「母の日参り」のキャンペーンとして、「ゴールデンウィ―クにスターチスをお供えして墓参りをしましょう」と御坊市と認知症をからめてPRしています。
 私はこの度、新しいちらしが完成し、講演の東京デビューが決まりました。そこで御坊市を知ってもらうのにスターチスを手に「御坊市から来ました柳岡克子です」と自己紹介をしています。講演では「親孝行」の話しのタイミングで母の日参りと認知症についても話します。スターチスを全国に広めましょう。