父母のメール  
ウェブサイト産経WEST
エッセイスト 柳岡克子
 産経新聞、6日の夕刊の「夕焼けエッセー」と7日の朝刊の「夜明けのエッセー」とウェブサイト産経WESTに私の書いたコラムが掲載されました。
 6日の夕方いち早く、神戸の知り合いからFacebookで「新聞見たよ」とメッセージがありました。新聞社からの連絡では、7日の朝刊と聞いていたのでビックリしました。我が家は夕刊を取っていないので確認できませんでした。朝になって早速見たら1面の右下の方に囲みコラムがあり掲載されていました。
 普段からサザエさん一家のような楽しい家族ですが、特におもしろかったエピソードを600字程度の文章にしてみました。遠くの方からもLINEやメールをいただいたり、電話やお手紙をくださったり、お会いする方からも「読んだよ」と声をかけていただきました。結構多くの方が読んでいるのだなあと思いました。産経抄は毎日読んでいますが朝刊に「夜明けのエッセー」が始まったのは去年からのようで、夕刊の「夕焼けエッセー」は2002年4月からだそうです。短いので簡単に読めるし、投稿なのでわかりやすい内容です。このコラムが私の目に留まるようになったのは最近で、毎回楽しみにしているほのぼのとした心温まるエピソードばかりです。読み終わって、「うんうん私もそう思う」とか「なるほど」とか、朝から楽しい気分になりました。
 そこで前回5月に「うどんのネギ」を掲載していただき、今回「父母のメール」を送ってみました。(以下原稿)ぜひご覧ください。

 2年前、父が80歳の傘寿の同窓会に行った。年々病気を理由に欠席する友達が増え、お亡くなりになる方もいて寂しくなるがおかげさまで元気に参加した。携帯電話の番号を教え合って直接つながる喜びを感じながらメールというものを教えてもらったようだ。
 そこで、私は父の日にスマートフォンをプレゼントした。友達から使い方を教えてもらって夢中になり、恋人同士みたいに「阪神勝ったぞ」「見てる」とか「今から寝る」「わしも」とかしょうもないやりとりを楽しみにしているが送る相手は数少ない。そこで母の日に弟が父と同じ携帯電話の色違いをプレゼントした。父は、母にメールの使い方を教えるのが楽しみで、どちらも80歳を過ぎての手習いに一生懸命になっていた。
 私も電話に出られないことが多く2人にメールできることを喜んだ。母は、私たちのメールを読むところまでマスターしてくれるようになったが、打つのは難しいようだ。父はスケジュールまで入力できるようになって、ゴルフの予定を入れては、何日後だと楽しみにしている。
 母にメールを送った。
 父「今日は、帰り遅くなる」母「了解」
 次の日。弟「今日は、晩ご飯いらない」母「了解」
 次の日。私「今日は、かに鍋にして」母「無理」
 私は「無理」を打つことができるようになったことをうれしく思ったが、ほめていいのか、悲しんでいいのか?
 がっかりした私が帰ったら、豪華なかに鍋だった。「了解」以外の言葉を打てるようになった喜びに輪をかけて、家族そろった日にかに鍋を食べることができた。母は、自分へのご褒美のつもりだったかもしれない。それからというものレベルアップした母から「帰りに牛乳買ってきて」というようなお使いが増えた。