うどんのネギ |
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ウェブサイト産経WEST | ||
エッセイスト 柳岡克子 | ||
産経新聞、12日の夕刊の「夕焼けエッセー」13日の朝刊の「夜明けのエッセー」ウェブサイト産経WESTに私の書いたコラムが掲載されました。 12日の夕方いち早く、和歌山の知り合いから電話がかかってきて「新聞見たよ」と。新聞社からの連絡では、13日の朝刊と聞いていたのでビックリしました。我が家は朝刊しかとっていないので確認できませんでした。朝になって早速見たら1面の右下の方に囲みコラムがあり掲載されていました。 普段からサザエさん一家のような楽しい家族ですが、特におもしろかったエピソードを600字程度の文章にしてみました。遠くの方からもFacebookのメッセージやメールや電話をいただいたり、結構多くの方が読んでいるのだなあと思いました。産経抄は毎日読んでいますがその横にこのようなコラムが始まったのは今年になってです。短いので簡単に読めるし、投稿なのでわかりやすい内容です。このコラムが私の目に留まるようになったのは最近で、毎回楽しみにしているほのぼのとした心温まるエピソードばかりです。読み終わって、「うんうん私もそう思う」とか「なるほど」とか、朝から楽しい気分になりました。 そこで私も送ってみました。(以下原稿)ぜひご覧ください。 うどんのネギ 母が、昼食の準備をしている。鰹だしのいいにおいがしてきた。吸い寄せられるように私と父が台所に入った。今日のメニューはうどんのようだ。食器棚からうどん鉢を取り出した。 父が言った。「ネギは?」。母は、「あっ!ゴメン!忘れてた!」と言って、鍋を火にかけたまま包丁を持って飛び出した。 わが家には隣の会社を挟んで、家庭菜園の畑がある。ネギや玉ねぎなどを植えている。 玄関から出たとたん、隣の会社にきたお客さんが母を見た。母は、血相を変えて右手に包丁を持って飛び出てきた。お客さんは、びっくりした顔で母をジロジロ 見ていた。隣の会社の人なら畑の存在を知っているが、お客さんは知らない。そこに、大慌てで包丁を持った女性が家から飛び出てきたのだ。 お客さんの車は都会のナンバーだった。隣の畑にネギを切りに行くなど想定しなかったのだろう。鍋の火を気にかけてあわてていた母を、あやしい人物と思ったに違いない。通報されなかっただけでもよかった。 しばらくして、ネギを手に取り戻ってきた母は「私のことをジロジロ見る変な人がいた」と言いながら、ニコニコとネギを刻んでうどんの上に乗せた。私も父も状況を聞いただけで「どっちが変な人や」と突っ込みたくなるのを抑えた。 いまだにジロジロ見られた理由を想像できない母は、おいしそうにうどんを食べていた。 ![]() |