高齢者の買い物事情  ~基礎研修Ⅱを修了して~
社会福祉士 柳岡克子

 1年かけて社会福祉士基礎研修Ⅱを受講してきました。最後に卒論のような修了レポートの提出があり、分科会発表を想定したレジュメの作成が課題となりました。そこで、この1年の研究の集大成として社会調査したことのまとめを論文にしました。
 平成26年1月1日現在における、和歌山県の高齢者(65歳以上)は289,076人で総人口に占める割合(高齢人口比率)は、28.6%となった。御坊市は、30市町村中26位で27.4%で県平均より下回っているものの全国平均26.0%を上回っています。このような現状の中、高齢者が日常生活をするうえで、生活必需品の購入にについて調査しました。調査のきっかけとなったのは、核家族が増え、一人暮らしの高齢者がどのような方法で買い物をしているのか?今後どのような支援があれば生活が快適になるか?新しい資源の発掘のためにも現状を知りたいと思ったからです。
まず、御坊市社会福祉協議会を通じて「高齢者の買い物事情」というテーマでアンケートを取らせていただきました。老人クラブの10月の会報の配布に合わせて役員さんに会員宅に配布してもらい後日回収してもらいました。1151名の方から回答を得られ分析しました。ご協力ありがとうございました。
 属性として性別、年代、6つの地域を○をしてもらい、11の質問項目に答えていただきました。
1.1週間の買い物回数は、①買い物しない122②週1回くらい330③週に2~3回463④週に4~5回141⑤週に6~7回59
2.1回の買い物で使う金額は、①1,000円以内72②1,000~3,000円566③3,000~5,000円299④5,000~10,000円70⑤10,000円以上が13
3.買い物時に利用する手段は、①徒歩164②自転車250③バイク138④自動車551⑤電車1⑥バス16
4.買い物に行く地域は、①御坊市内1013②日高郡内66③田辺地域11④有田地域4⑤和歌山市周辺13⑥大阪10
5.よく利用するのは、①商店街262②通信販売50③大型ショッピングセンター780④コンビニエンスストア163⑤ドラッグストア161
6.通信販売の利用状況は、①よく利用している44 ②時々利用している366③利用していないが今後利用してみたい98④利用していないが今後も利用するつもりはない420
  ☆利用している人の媒体は、①テレホンショッピング42②インターネットショッピング52③新聞・雑誌61 ④通信販売のカタログ210⑤生協の注文票77
7.大型ショッピングセンターの利用頻度は、①ほとんど毎日20②週1回くらい386③週に2~3回325④週に4~5回以上61
8.コンビニエンスストアの利用頻度は、①ほとんど毎日34②週1回くらい260③週に2~3回115④週に4~5回以上9
9.店を選ぶ条件は、①立地条件116②駐車場の有無284③品ぞろえ499④品質220⑤価格設定221⑥接客態度57⑦店の雰囲気62⑧営業時間104
10.店に望むサービスは、①配達130②少量やばら売り352③バリアフリー35④コミュニケーション103⑤移動スーパーの導入98 
11.自分で買い物に行けない時、①家族に行ってもらう726②近所の人に頼む39③通信販売26④ヘルパー32
 以上の結果より、男女とも週2~3回買い物に出かけ、1,000~5000円使います。回数が多いほど1回の買い物に使うお金は少なくなります。名田町など旧御坊町以外では大型ショッピングセンターが遠いこともあり、週の買い物回数が減り単価が高くなる傾向があります。いずれにしても自らが運転又は家族に乗せてもらうかの方法で御坊市内の大型ショッピングセンターで週1~2回買い物するという全体像が浮かび上がりました。80代以上の高齢者は徒歩や自転車での買い物が出来る所として近所の商店街を選んでいますが、遠くても車に乗せてもらう方法で買い物をする人も多いです。コンビニエンスストアは利用しない人がほとんどですが、60代など若い世代に利用者が広がっています。通信販売を利用する人は半分に満たないが配達のメリットを活かし、カタログや生協の利用があります。店を選ぶ条件として品ぞろえが第1位で、少量やばら売りを希望しています。これは核家族が増え世帯の構成人数が減っていることが考えられます。もし買い物できなくなった時は、家族の支えを重視しているようです。それには、近くに子どもや親族が住んでいることが前提となりますが、時々実家に帰って来てくれた時に一緒に買い物に連れってもらうという一人暮らしの方もいます。日高郡に広げれば状況は違うでしょうが、御坊市内に絞ってみると移動スーパーを希望している人は少ないのが現状です。地区別では、移動スーパーの希望者が名田地区で一番多く、ドラッグストアの利用者が多いのは藤田地区でした。これは店舗の立地によるものと考えられます。男性には、買い物をしないと答えた人がかなりいて男女差が顕著に現れました。これらの結果を踏まえ、今後この地域での店舗運営や消費者ニーズに合わせた社会資源の開発につなげていきたいと思います。
 折しも、2月6日7日と社会福祉士の和歌山市内で近畿ブロック研究・研修和歌山大会がありはじめて参加させてもらいました。社会福祉士は「生きづらさ、生活のしづらさを抱えた人たちを支え、護り様々な人や制度をつなぐ仕事だと改めて感じ、高齢者・障害者・子ども・低所得者・犯罪歴のある方などへの支援について、それぞれの分野での活躍を伺うことが出来ました。