待望のエレベーター設置に感謝~御坊駅のバリアフリー化完成~  
御坊市身体障害者福祉協会肢体障害部会長 柳岡克子
 JR西日本株式会社和歌山支社御坊駅(小谷典史駅長)のバリアフリー化工事が完成し、23日に竣工式が行われました。私も御坊市身体障害者福祉協会の湯川芳規会長と共に式典に参加させていただきました。
 平成16年4月29日の御坊市身体障害者福祉協会の総会において会長に就任させていただき一番の目標として掲げたのが、御坊駅にエレベーターを設置してもらうことでした。私たち障害者の外出には御坊駅の階段が大きな障害になっているとして取り組み始めたものの、皆体が不自由で署名を集められませんでした。そこで趣意書を作り、各種団体・企業様へ郵送にて団体賛同書をいただきました。60もの団体様が趣旨に賛同して下さったおかげで、8月3日付けで当時の宮田敏彦駅長に要望書を提出させていただきました。要望は、①御坊駅構内にエレベーターを設置していただきたい②エレベーター設置実現までの代替策として、階段を利用するのが不自由な人のために、介助型階段昇降機または、いす式階段昇降機を設置していただきたい③階段昇降機設置の代替策として、2つのプラットフォームを部分的にスロープ化し、駅長の許可を得て、線路を横断できるようにされたい④御坊駅正面入口の階段に手すりをつけていただきたい。の4つでした。
 当時のエレベーターの設置基準は、1日の利用客数が5000人以上となっていて約4000人だった御坊駅は対象外でした。しかしながら私たちの思いを受け止めて下さり、平成17年2月28日、4番目の要望であった正面玄関に手すりを付けていただくことになりました。かなりのトーンダウンでご支援いただいた皆様方に申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、黙っていても気持ちは伝わらない。声をあげたことでいつか夢は実現するという希望は捨てませんでした。
 エレベーターは無理でも3番目の提案については、前向きに考えてくれましたが、御坊駅の敷地面積ではスロープの設置は無理だということがわかり万事休すでした。そんなとき、スロープではなく2つのホームの端に段差解消機(リフト)を設置するという思ってもみない提案がJR側からあり、当時の森俊夫駅長と故湯川正晴・故山本茂治副会長とで話しあいを重ねました。段差解消機の設置は駅としても初めての試みでモデル事業として全額JRが負担してくれるということで願ったりかなったりでした。利用開始は、平成18年12月28日からでした。平成20年には、桑滝卓駅長が和歌山県身体障害者連盟の肢体障害者研修会で利用方法の説明をしてくれました。毎月数名の利用者がいて私もそのうちの一人として何度も利用させていただきましたが、そのたびに駅員さんのお世話にならなければならず申し訳なく思っていました。
エレベーターの設置には莫大な費用が必要です。もはやあきらめかけていた時、エレベーターの設置基準が3000名以上に下がり、国の補助金をいただけるようになりました。それ以降は、二階俊博総務会長や柏木征夫御坊市長、中村裕一県会議員などのお力と私たちではとても集められない1万人を超える署名を集めてくれた御坊商工会議所や各種団体様、署名をしてくれた皆様、寄付してくれた御坊ロータリー様など多くの皆様方のおかげで、国体直前という最高のタイミングでエレベーターの設置が実現しました。
 16日、利用開始の日、母とエレベーターのボタンを押して「皆のおかげだね」と感激しました。私たち障害者だけでなく高齢者や乳母車・大きなスーツケースを持った方など皆が喜んでいます。実は、県の身体障害者連盟から電車とホームの段差が大きすぎ危険なので何とかならないかという要望も出ていました。今回はエレベーターだけでなくホームをかさ上げするという大きなバリアフリー化工事もしていただき乗り降りが安全になりました。
 私は、昨年会長を引退し何も出来ませんでしたが、御坊・日高の玄関口として誰もが利用しやすい駅となったことは本当に感慨無量です。利用者の一人として今までご尽力いただいた多くの皆様に感謝の気持ちを込めて御礼申し上げます。ありがとうございました。