和歌山県海外派遣「女性のつばさ」から20年
つばさの会6期生 柳岡克子
 平成7年9月仮谷知事に結団壮行式で激励の言葉を受け第1回の派遣として、スウェーデン、ノルウェー、デンマークへ32名が飛び立ってから20年が経ちます。2年目西口知事に見送られた22名は、同じストックホルム、オスロ、コペンハーゲンの10日間でした。3期生の22名は、ドイツ、デンマーク、フィンランドとヨーロッパを視察しました。4年目は、北欧とは違った取り組みを研修するためオーストラリア、ニュージーランドへ21名が出発しました。5期生の22名も同じコースでシドニーやオークランドに行きました。そして、私たち22名の6期生は、木村知事に見送られ県が姉妹都市を結んでいるアメリカフロリダ州やロサンゼルスを訪問したり、カナダのバンクーバーでホームステイしました。残念なことに翌平成13年9月11日壮行式から帰宅した7年目の団員は、夜テレビでアメリカ同時テロのニュースを見ることになります。飛行場でのセキュリティ等行程が大幅に狂うことを警戒し、出発することなく、その後知事も代わり私たちが最後の団員となりました。
 和歌山県が女性施策の一環として国際的な視野を持った地域の女性リーダーを養成するため海外の女性団体との交流や福祉施設の見学、教育機関などを視察しました。卓球の試合で外国には行っていましたので、母も同行できるものとして応募しました。ところが「あなたのためにも皆のためにもなるからお母さんには遠慮してもらいましょう」ということになりました。不安ながらも参加者に支えられ無事行程を終え帰国することが出来ました
1期生が帰国後「つばさの会和歌山」を結成し毎年集まり情報交換などし、私も帰国後入りました。特に私が一緒に行った6期のメンバーは行き先のカナダにちなんで「メイプル」と名付け、毎年忘年会をして交流を続けています。また、1期生から6期生までの日高地域からの参加者で「つばさの会日高」として集まり、映画「折り梅」上映会などもしました。派遣事業は継続できなくなりましたが、結成の趣旨に沿って私が御坊市の男女共同参画推進グループウイズ・ア・スマイルの会長として頑張ったように団員として参加した女性たちは、それぞれ地域のリーダーとして様々な分野で活躍しています。その人たちが年に1回集まる会が今年20年目を迎えたのです。
 参加者130名はそれぞれの活動が忙しくなり、現在会員は40名ですが、今年の総会で20周年記念事業をすることになり、21日、県立図書館で特定非営利活動法人国境なき医師団日本前会長の黒崎伸子氏を講師に「人道的医療援助活動の現場から〜ジレンマと挑戦〜」という演題で講演をしてもらいました。黒崎さんは、外科医であり長崎県女性医師の会副会長、日本BPW連合会会長を務めるなど社会活動に熱心です。国境なき医師団は、1971年にフランスで設立され、1992年に日本事務局が発足しました。独立・中立・公平の原則に基づき、政治経済宗教のいかなる影響も受けずに活動している非営利で国際的な民間の医療・人道援助団体です。ボスニア、ソマリアなどの紛争地や、感染症がまん延する地域、ハイチ大地震や東日本大震災などの自然災害の被災地で、緊急医療援助活動を行ってきました。活動資金のほとんどを民間からの寄付でまかなっており、1999年にはノーベル平和賞を受賞しました。約世界70の国と地域で、日本人医師や看護師をはじめとする約3万6000人のスタッフが、援助活動を行っています(2013年度)。
 この度、20周年記念講演会を開催するにあたって、このような素晴らしい講師のお話しを聞くことが出来、国際的な視野に立って女性が人道支援している現状を知り「今日までの20年、そして今日からの20年!未来に向かってはじめての一歩」というテーマにふさわしい活動の原点を見つめなおすことが出来ました。