7、中学校入学
 御坊小学校を卒業して御坊中学校に入学した。義務教育なのでそのまま行くことになる。御坊小学校の先生は丁寧に御坊中学校の先生に「身体の不自由な女の子が中学生になります。なにとぞよろしく」と引き継いでくれたようだ。そしたら御坊中学校の先生は、普通学級で不自由な生徒を教えるのは初めてで張り切った。私の方は、父がトイレの壁に手すりを取り付けてくれ、ポータブルトイレを置きにいった。御坊中学校の先生は引継ぎのおかげで大変親切だった。何かあったらいけないということで、ことあるごとに「柳岡さん、大丈夫か?」「柳岡さん、いけるか?」「柳岡さん、気をつけて」と気にかけてくれた。いつも気にかけてくれることはありがたかったが、あまりやさしくされるのは「うっとうしいな」と思う年頃だった。
 小学生の頃は自分のことで精一杯で、歩き方がおかしいと振り向かれて笑われたり、そろばんがうまく出来ないとか落としたものが拾えないとか生活の中で困ったことがあってもそれが不幸だとか悲しいとか感じる余裕がなかった。ところが、中学生になるとすべてのことを周りと比べてしまい、何でも気になってしまった。