出雲から平和を祈る
  〜日本身体障害者福祉大会に参加して〜
和歌山県身体障害者連盟評議員 柳岡克子
 5月22〜23日、島根県で行われた第59回日本身体障害者福祉大会に参加しました。全国から約2000名の身体障害者が集う中、和歌山県は35名が一泊二日、バスでの長旅に出発しました。和歌山県の会長と事務局長は21日から松江市に入り、22日のホテルでの評議員会やシンポジウムに出席してくれている間、私たちは、出雲大社を参拝しました。
 出雲大社の御祭神大國主大神(おおくにぬしのおおかみ)は、「だいこくさま」として親しまれ、統率力、英知がある上に人々を幸せな縁で結ぶ神様、福の神、平和の神、農耕の神、医薬の神として崇められています。国宝である現在の御本殿は1744年に造営され、これまで3度の遷宮が行われてきましたが、平成20年より60年に一度の大規模な社殿の御修造「平成の大遷宮」が行われています。遷宮とは、御神体や御神座を本来あったところから移し、社殿を修造し、再び御神体にお還りいただくことです 平成25年5月10日には、大国主大神が修造の終わった御本殿にお還りになる「本殿遷座祭」が執り行われ、その後も様々な奉祝行事・記念行事が催行されました。摂社・末社の改修は引き続き平成28年まで続けられます。
 私たちは、ガイドさんの案内で「手水舎」で手と口を清めた後、わが国最古の「銅の鳥居」をくぐりました。現在の神楽殿は昭和56年に造営されました。ここに掛かる注連縄(しめなわ)は長さ13.5メートル、重さ4.4トンの巨大なものでした。折しも高円宮妃久子殿下の次女、典子女王殿下と代々出雲大社の宮司を務めている禰宜(ねぎ)千家国麿さんのご婚約が内定し、今秋に出雲大社で挙式をされる予定とのおめでたい発表があったばかりです。
 私たちは、神様のお導きによって素晴らしいご縁に恵まれますよう祈りホテルに向かいました。ホテルでの夕食の後、大学時代同じ寮に住んでいた友達と28年ぶりに再会することができました。年月を超えて楽しい時間を過ごせました。
 23日、島根県立産業交流会館(くにびきメッセ)でしまね大会が開催され、大会スローガンが掲げられる中、表彰などの式典が行われました。議事進行の後、大会宣言・大会決議が宣言されました。主催者挨拶や来賓の祝辞にもありましたように、今年1月20日,日本は障害者権利条約を批准しました。国連総会で,「障害者の権利に関する条約」が採択されたのは,2006年12月のことです。日本は、国内法の整備をはじめとする諸改革を進めるべきとの障害当事者等の意見も踏まえ2007年9月に署名はしたものの批准していませんでした。障害者権利条約は,障害者の人権や基本的自由の享有を確保し,障害者の固有の尊厳の尊重を促進するため,障害者の権利を実現するための措置等を規定しており,障害者に関する初めての国際条約です。その内容は前文及び50条からなり,市民的・政治的権利,教育・保健・労働・雇用の権利,社会保障,余暇活動へのアクセスなど,様々な分野における障害者の権利実現のための取組を締約国に対して求めています。
 政府は2009年12月,内閣総理大臣を本部長,全閣僚をメンバーとする「障がい者制度改革推進本部」を設立し,条約締結に向けて集中的に国内法制度改革を進めていくこととしました。これにより障害者基本法の改正(2011年 8月)障害者総合支援法の成立(2012年 6月)障害者差別解消法の成立、障害者雇用促進法の改正(2013年6月)をもって、国内法整備の充実がなされたことから、国会において条約締結に向けての議論が始まりました。そして2013年11月19日の衆議院本会議12月4日の参議院本会議において全会一致で障害者権利条約の締結が承認されました。これを受けて2014年1月20日吉川元偉国連代表部大使が,障害者権利条約の批准書を国連に寄託し、日本は140番目の締約国となりました。本条約の締結により,我が国において,障害者の権利の実現に向けた取組が一層強化され人権尊重についての国際協力が一層推進されることとなり、2月19日から効力を生ずることとなりました。
 私たちの団体は“Nothing about us,without us(私たち抜きに私たちのことを決めないで)”のもと一致団結して運動してきました。先輩方のたゆまぬ努力と多くの方のご理解ご協力の賜物だと思います。批准は障害者の自立や社会参加へのスタートだと考え、国民的理解への啓発活動、行政や地域との連携を深め、障害者施策に反映させ、より実効性のあるものにするため頑張っていきたいと思います。