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道徳の教科化と親学のすすめ
御坊市男女共同参画推進グループウイズ・ア・スマイル 会長 柳岡克子
 東京オリンピックの年に生まれた私や同世代は、戦争も知らず、高度経済成長の波に乗って、物質的には豊かになりました。しかし、日本の伝統的な精神文化が置き去りにされ、家族の絆が失われようとしています。少子化、核家族化、女性の社会進出、価値観の多様化などにともなって、子どもを取り巻く環境は大きく変化しています。自殺や不登校も増え、ネットを使った陰湿ないじめや犯罪が深刻化してきています。これは家庭の教育力の低下が問題だと指摘され、親と子のあり方が大きくクローズアップされてきています。一方、学校に対して理不尽な要求をする「モンスター・ペアレント」と言われる自己中心的な親が話題になりました。
 そんな中、道徳教育の充実策を検討している文部科学省の有識者会議は、現在は正式教科でない小中学校の「道徳の時間」を「特別な教科」に格上げし、検定教科書の使用を求める素案を固めました。道徳の教科化については、教師の指導力不足や教科書や評価をどうするかなど賛否もあるでしょうが、子育てについて、真剣に向き合って考えてみませんか?
 12月13日金曜日、夜7時から、御坊市民文化会館で明星大学教授・玉川大学大学院講師の元埼玉県教育委員長、現在は日本家庭教育学会常任理事、政府の男女共同参画審議会議員をされている橋史朗氏を講師にお招きし、「家族の絆と男女共同参画」という演題で講演してもらいます。高橋氏は、「親が育てば子供は育つ」「これで子供は本当に育つのか」「主体変容の教育改革」(MOKU出版)などの著書をたくさん出版され、一般財団法人親学推進協会会長として、「親学」を推進し、全国で講演されています。
 高橋氏は、『親になるためにこれだけは学んで欲しいこと、それを伝えるのが親学です。親学という言葉には、「親としての学び」と「親になるための学び」の二つの意味が含まれています。たとえば、親として、子どもの発達段階に応じてどうかかわったらよいのかといった大切なことを学びます。親学では、親のすべきこと(役割)を学んでもらうだけでなく、子どもを持つ喜びや、子どもの成長を喜ぶ気持ちを深め、豊かな親心を育むことが大切だと考えています。つまり親学は親としての学びであるとともに、親が人間として成長するための学びでもあります。これから親になる人はもちろん、現在子育て中の人が親学を学ぶことにより、親としても人間としても成長し、自分に自信を持てるようになってほしいのです。』と語っています。
 子どもは、これからの日本を支える宝です。学校で道徳や規範意識を習い、家庭で愛情に包まれた子育てをしっかりする。学校と家庭の両輪がうまく機能して健やかな子どもが育つのです。そんな大切な家族の絆や教育について、目の前で語っていただきます。タイムリーなこの時期にお忙しいのにはるばる東京からお越しいただけることになりました。この機会にぜひご聴講ください。
 なお、悲しいことですが私たちウイズ・ア・スマイルを発足当初から支えてくれた板垣友恵さんが9月にお亡くなりになりました。ダンス「手洗いパラパラ」では、センターに立ち、彼女の後姿を真似しながら踊ったものです。オリジナル寸劇「ばいきんバイバイ」では、手を洗わない男の子の役をしてくれました。「トイレプロジェクト」では親切丁寧に新聞紙の折り方を説明してくれました。男の料理教室も介護教室もすべての行事に熱心に取り組んでくれました。心からご冥福をお祈りいたします。