バランスの良い食事をしましょう
わかやま食の安全サポーター 柳岡克子
 いろんな会合に参加するようになって外食が増えました。私と一緒に食事に行ったことがある方は、私に苦手な食材が多いことにびっくりされたことと思います。私に対するイメージが変わったとあきれてものが言えなくなる方、「野菜食べなあかんで」と説教する方、「病気になっても自業自得やで」とお肉を皿に取ってくれる方など反応は様々です。食わず嫌いということもありますが、20歳まで、豆腐もチーズもきのこも白菜も筍もピーマンもホウレンソウも芋も食べたことがありませんでした。
 家族の名誉のために言っておきますが、皆平等に盛り付けられているのを私が嫌いな食材を父や母や弟のお皿に移したり、残したりで避けていました。毎回叱られながらもわがままを通し続けました。私が通った御坊小学校も御坊中学校は給食がありませんでした。他人のせいにはできませんが栄養のバランスを考えてくれた給食があったら、見栄や意地もあって人前で好き嫌いがあることを知られるのが格好悪くて、何でも食べられる子になっていたかもしれません。親に叱られるのは平気でも友達に変な眼で見られるのは耐え難いのが子どもだと思います。母は、私の偏食を改善するために調理方法を変えたり、味付けを変えたり涙ぐましい努力をしてくれました。外から見えないようにキャベツはお好み焼きに、玉ねぎはチキンライスに入れたらわかりませんでした。大根や人参は、おろしにして、芋はつぶして口触りを良くしました。ドレッシングをポン酢に変えたらレタスが食べられました。それでも、キュウリやトマトが今も苦手で、特にマヨネーズやドレッシングがかかっているとダメなので、サラダは避けてしまいます。
 栄養学では、5大栄養素として糖質・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラルがあげられていて、一応薬学部を卒業しているので、どんなものに含まれているか、どのように作用するのか、取り過ぎたり、欠乏すればどうなるか、治療の薬などを勉強しました。わかっていて実践できないのが一番始末に悪く、人様に合わせる顔がありません。
糖質は炭水化物と言ってエネルギー源となります。ご飯やパン、麺類やお菓子や果物に入っています。血糖として全身の血液に送られエネルギーとして使われます。余った分は脂肪となります。血糖値が高くなると分解が追いつかなくなり膵臓が悲鳴をあげて糖尿病になります。
 脂質もエネルギー源となります。サラダ油、バター、ラード、チーズなどに含まれていて、取り過ぎると体脂肪となり肥満の原因となります。タンパク質は肉や魚、卵や豆腐に入っていて、血液や筋肉など体をつくるもとになる細胞やホルモンや酵素を作っています。これは不足すると貧血、疲労、成長障害などおこします。ビタミンは淡色野菜に多く含まれている水溶性のBやC、緑黄色野菜に多く含まれている脂溶性のA、D、E、Kなどたくさん種類があって他の栄養素の吸収を良くしたり、調整したりします。ミネラルは牛乳や小魚などに含まれているカルシウムやカリウム、リン、マグネシウムやナトリウムなど微量元素です。骨や歯、血液やホルモンの生成に必要で、筋肉や神経系に関わる重要なものです。
 これらの栄養素は日本人が普通に食生活をしていれば食事の中から摂取できるものです。朝・昼・夜バランスよく3食食べれば生きていけるのです。しかし、取り過ぎたり、少な過ぎたりするとバランスが崩れます。ですからいろんな食材を食べることが大切です。
 これではいけないと思って、大学の時、明石市のカルチュアスクールの中の料理教室に通いました。自分で作ったものなら食べられるのではないかと思ったからです。しかも目の前にそれしかなく、材料費と授業料まで払うのですから食べなきゃ損というプレッシャーをかけながら、食わず嫌いの食材をはじめて食べることになりました。それからは、少しずつ食べられる食材を増やしていき、偏食は減りました。
 40歳を過ぎて健康を意識するようになって、毎日の食生活を見直しました。野菜の代わりに取っていたサプリメントもやめ、カロリーも考えるようにしました。糖分、塩分を控えめにし、ジュースはお茶に、大好きな肉・魚には野菜を添えて、油いためを蒸すなどの調理方法に変えました。おかげで体調も良く元気で、健康診断はバッチリでした。好き嫌いもほとんどなくなり、友達と外食するのが楽しくなりました。うどんの上に乗ったネギをつまみ出していた幼き頃が懐かしいです。ただ今も肥満なのは身長の割には全体的に量が多いからです。腹8分目で押えられないのがアホです。もう少し糖質を控えなければなりません。
 皆様も、1日の摂取量を考えながらバランスのいい食生活をして、健康な体を維持しましょう。病気になって栄養指導を受ける前に、今こそ普段の食事を見直しましょう。(あんたに言われたくない。そりゃそうだ。)