セミナーを聴きに行きましょう
御坊商工会議所青年部 柳岡克子
 先日、大阪で「第2回商工会議所によばれる講師オーディション」があり、聴講してきました。50名を超える1次審査を通過した9名が発表者となり、大手プロダクションの社長や商工会議所や商工会の研修企画部の方々が審査員として座る中、10分間で自身の講演を売り込む大会でした。私も講師として登録しているシステムブレーンの岡田社長と久しぶりにお会いすることができ、私の講演が増えていることに対して御礼を申し上げることができました。人権担当者にお世話になっているからです。
 予選も10分間のプレゼンテーションを行いコンサルタントの審査を受け、ここではセミナーの「独自性」と「再現性」の高い人が本選出場となりました。商工会議所が会員を集めてセミナーとして開催する講師に対して望んでいることは、「受講者が抱えている問題解決に向かうためのモチベーションを高めること」と、「受講者がすぐ使える(真似できる)ノウハウを伝えること」です。そんな激戦を勝ち抜いた皆さんですから10分間といえども手に汗握る白熱ぶりでもっと深く聞きたいと興味をそそる内容でした。今回は、パワーポイントや映像は使わずに、10分のしゃべりだけでポイントを凝縮して話します。ホワイトボードに書いたり、磁石のツールやカードを使ったり様々でしたが、楽しい時間でした。個性的で落語を聴いているかのような特徴のあるしゃべり方をする人や、ワークショップを取り入れて退屈させない演出もあり、場を踏んでいるなあと思いました。
 いつもは講師の立場で聴いていただくのですが今回は反対の立場で、客観的に聴くことができて大変勉強になりました。間の取り方、声の調子、身振り手振り、視線の合わせ方など、上手な方は意識して訓練しているなあと感じました。
 審査員には、プレゼン前にセミナータイトル、想定する対象者、メッセージ、プロフィール、経歴、所属団体と続き、内容が書かれたセミナー企画書が配られています。
 私が、この企画書を手にしてまず感じたのは、それはそれは長いタイトルと立派な肩書でした。9名の方はそれぞれ会社を経営していたり、グループのリーダーだったりで演題と同様の著書も発行しています。資格もいろいろで士業としてのコンサルタントをしている人もいます。しかし、どの方もいきなり今のように成功してきたかと言うとそうではありません。皆さん「成績の悪い営業マンだった。」とか「業績が伸びない部署にいた。」とか苦労した末に考え、いろいろ取り組んで成功した事例を持っていて、その実績の積み重ねとデーターにもとづいたエピソードの発表でした。実体験からきているので聞いていて説得力があります。自分もそうなれるのではないかと思ってしまいます。講師の言うようにすれば、うちの会社も儲かるのかもしれないと錯覚してしまいます。そこで分かれるのは、聴きながらうちには当てはまらないと思う人、いい話を聞いたと納得する人、今日から実践してみようと試す人です。受け止め方はそれぞれで、すべての方に当てはまるとは限りませんが、納得するだけでは進歩はありません。まず、やってみて、工夫して試してみることです。特にどの方も、ITの活用については今の時代不可欠だと言っていました。
 きっと近いうちに、9名の方の誰かがこの御坊地域に講演に来られて、商売のノウハウを伝授してくださる日も近いことと思います。せっかく御坊商工会議所が1,000を超える事業所に案内を出し、新聞発表をし、講演料を払ってセミナーを開くのですから、聴く価値はあると思います。そして聞きっぱなしにせずに実践して、いいところを吸収して、自社のために活用して儲けてほしいと思います。