点字を習ってみませんか?
  〜ユニバーサルデザインの社会をめざして〜
御坊市身体障害者福祉協会 会長 柳岡克子
8月26日、御坊市身体障害者福祉協会視覚障害者部会の点字教室が開かれました。毎年夏休みにするのは子どもたちに体験してもらいたいからです。
点字は目の不自由な人が指で触って読む文字です。今世界中で使われている点字は、フランス人のルイ・ブライユが考え出した点字が基礎になっています。ブライユは1809年フランスで生まれました。3才のときに、ナイフであやまって左目を刺して失明、もう一方の目もやがて見えなくなってしまいました。10才になるまで村の小学校で学んだ後、パリ盲学校に入学しブライユは、盲学校で軍人のシャルル・バルビエの発明した12点の点字に出会います。そして、この点字を改良し、今の点字のもとになる6点点字を考案しました。ブライユの点字はヨーロッパやアメリカなど世界各国に紹介され、それぞれの国の言葉を書き表すために改良されていきました。彼の功績をたたえ、誕生日である1月4日が世界点字デーとなっています。日本には明治の初めにブライユの点字が紹介され、たくさんの人たちによって、日本語にあう点字の改良が進められました。そして、1890年(明冶23年)日本盲唖学校の教師だった石川倉次によって考案された点字が、正式に日本の点字として採用されることが決定されました。その11月1日を点字記念日としています。
点字は点字器で打ちますが、打つことによって紙がへこみ、裏返してふくれた所を指で触ることによって読みます。だから打つ方と読む方では左右が反対になります。私は、打ち方を教えてもらったのであいうえおの一覧表を見ながらなら打てますが、指の間隔が鈍いのでひっくりかえしても微妙な点の位置が感じられません。すらすら読める方はかなりの時間と労力をかけたそうですがすごいです。
一般的に使われている点字器は、板(ばん)定規(じょうぎ)点筆(てんぴつ)がセットになっています。用紙のサイズはB5版が標準です。プラスチック製や木製のものがあります。点字を書くときは、右から左に書いていきます。読むときは、紙を点字器からはずし、凸面を左から右に読んでいきます。
点字は6つの点からできており打つ方では縦に@AB、左隣にCDEと番号が決められています。
今回は打つ方の番号で説明します。あは@の点。いは@とAの点。うは@とCの点。えは@とAとCの点。おはAとCの点です。か行はローマ字の構成のようにあなどの母音とKに当たるEの点からできていて、この方法でさ行もた行も子音に当たる点をそれぞれ追加すれば文字ができます。
ただし、がのような濁音やぱのような半濁音は6つの点では表せないので隣にもう一つのマスを右隣に並べます。濁音はDの点、半濁音はEの点を追加するということです。
拗音も2マスを使って書きます。拗音はまずCの点(拗音符)の後に五十音(ア列・ウ列・オ列)を書きます。
 その他数字やアルファベットや楽譜もあります。
点字にはひらがなとカタカナの区別はありません。もちろん、漢字もありません。点字を書くときには、ことばのまとまりごとにマスあけます。そうしないと言葉がつながって、意味がわかりにくくなるからです。点字には消しゴムはありません。まちがえたらていねいにその点を指先でつぶすか「め」の字の6つの点全部を打つことで間違いをあらわします。
 近年、バリアフリー、あるいはユニバーサルデザインの一環として点字の併記が行われるようになり、代表的なものとしては、缶入りビールなどのアルコール飲料に「おさけ」「さけ」「びーる」といった表記が行われています。また、トイレやエレベーターやエスカレーターなどにもあります。この写真は缶チューハイに記された点字「おさけ」です。ファイル:Tenji-osake.jpg
 全国で約35万人の視覚障害者の中でも点字を使える人は1割ぐらいと少ないのが現状で、中途障害の場合は覚えるのが大変で誰もが点字を使えるわけではありません。最近ではパソコンで入力できる点字もあり、プリンターも多岐に渡っています。御坊市身体障害者福祉協会の点字教室も3年目を迎え、1回では五十音と名前だけで終わってしまうので連続講座の開催を考えています。点訳ボランティアが少ないので、たくさん増えてくれれば点字図書館などの蔵書も増えることでしょう。