仕事でストレスかかえていませんか?
メンタルヘルス・マネジメント 柳岡克子
 以前和歌山工業高校や和歌山東高校で資格試験について講演したことが好評で、今年もキャリア教育の一貫で生徒たちに職業意識の向上のためキャリア講演を依頼される季節がやってきました。
資格試験には、民間が主催するご当地検定や趣味的なものから公的な機関が認定した試験まで様々で、実際に就職に役に立つもののあれば自己啓発が目的のもあります。しかしながら日本人の向上心につけこんで士(サムライ)商法といってやたら高額な教材をあたかも購入すれば合格できるようなふれ込みの通信販売もあり気をつけなければなりません。これから社会に出て行く生徒たちに自分自身のキャリアをつけるための一つとして資格を取ろうとすすめています。公的に認定された資格なら卒業した高校や大学の格差によって評価されることはありません。学生の時に自分が将来何になりたいのかしっかり考えるきっかけになるようなお話しています。人は平等に24時間しか与えられていないのだからいかに勉強時間を確保するか。勉強のために犠牲にできることとできないことへの周りの理解。いかに集中して記憶するか。教材にかけられる予算。目標を立て計画的に実行していくための方法などをアドバイスしています。
日本商工会議所は今まで、簿記検定や販売士・パソコンなどの検定を全国展開で行なってきました。また独自に東京商工会議所が福祉住環境コーディネーター試験を実施したかと思うと2006年に大阪商工会議所がメンタルヘルス・マネジメント検定試験を開発しました。今回私はメンタルヘルス・マネジメント検定試験のU種ラインケアコースとV種セルフケアコースに合格しました。
メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、働く人たちの心の不調の未然防止と活力ある職場づくりをめざして、職場内での役割に応じて必要なメンタルヘルスケアに関する知識、技術、態度を習得するために行なわれます。
仕事や職業生活に強い不安や悩み、ストレスを抱える人は増加傾向にあり、心の不調による休職や離職もまた増加しています。働く人たちがその持てる能力を発揮し、仕事や職場で活躍するためには、心の健康管理(メンタルヘルス・マネジメント)への取り組みが一層重要になってきました。
心の健康管理には、一人ひとりが自らの役割を理解し、ストレスやその原因となる問題に対処していくことが大切です。また、雇用する企業としても、社会的責任の履行、人的資源の活性化、労働生産性の維持・向上を図るうえで、社員のメンタルヘルスケアについて組織的かつ計画的に取り組む必要があります。
2006年3月に厚生労働省が公表した「労働者の心の健康の保持増進のための指針」は、事業場が計画的に職場のメンタルヘルスを進めること、また専門家と協力しながら従業員、管理監督者、人事労務管理スタッフがそれぞれの役割を果たすことが重要であるとしています。これらの関係者がそれぞれの立場からメンタルヘルスについて学び、必要に応じてこれを実行できることは企業価値の向上、さらには従業員の幸福につながることと思います。
U種では、部下のメンタルヘルス対策の推進を担当する管理監督者向けの内容で、部下が不調に陥らないよう普段から配慮するとともに、部下に不調が見受けられた場合には安全配慮義務にのっとった対応を行なうことができることを目標としています。V種は、自らのメンタルヘルス対策の推進を行なう一般社員および新入社員向けの内容であり、自らのストレスの状況・状態を把握することにより、不調に早期に気づき、自らケアを行い、必要であれば助けを求めることができることを目標にしています。試験は主に公式テキストから出題されます。4者択一で各2時間の試験です。首都圏をはじめ全国14ヵ所の会場で受験できます。
毎年3万人を超えている自殺の原因には様々なものがありますが失業や職場に対する不満や不安が引き金となっているのもあります。自殺対策についての講演もさせてもらっているのですが、私自身の体験をお話しても、「頑張ったね。」で終わってしまいます。人それぞれ環境が違うのだからもっと専門的に勉強し、一人ひとりに対応できるアドバイザーになりたいと思いました。ストレスの多い時代ですから早いうちに対策を立て快適に仕事に従事できる環境を整えるため、メンタルヘルス・マネジメント検定試験の合格者が増え各職場で活躍するようになってほしいと思います。