家族の絆を守ろう 〜選択的夫婦別姓法案の問題点〜
日本会議和歌山女性の会 副会長 柳岡克子
 政権交代が行なわれ国民の大きな期待とともにスタートした民主党政権ですが、障害者自立支援法の廃止をうたいながらどのように対案を出すのか、国の安全保障にかかわる問題と沖縄県民の感情という同じはかりでは計れない次元の普天間基地移設問題をどのような落としどころで決着するのか、年金や医療をはじめ社会保障制度をどうしたいのか全く見えてこないまま、7月の参議院選挙対策ともいえる子ども手当てや高校無償化制度を、マニフェストをたてに法案を通しています。しかし、マニフェストに触れていないにもかかわらず、国家の存立にかかわる重要な法案が提出されようとしています。それは、永住資格をもつ外国人に地方参政権を与える法案と選択的夫婦別姓法案です。
 政府は、夫婦が別々の姓を名乗ることができる選択的「夫婦別姓」制度を盛り込んだ民法改正案の国会提出をめざしています。選択的夫婦別姓とは、男女が結婚してどちらか一方の姓を名乗るか、別々に従来の姓を名乗るかを選択できることです。
 私たち日本人は初詣や七五三、お墓参りなどで、神様やご先祖様への日々の感謝を通じて先祖を敬い、家族の絆を大切に子孫を育んできました。私たちはこの世に生を受けてから両親をはじめとする家族に育てられ、やがて成人として結婚し家庭を築きます。そして子どもを産み育てていく。こうして何世代にもわたり命をつないできました。家族は社会構成の最小単位であるといわれています。家族は私たちが一番身近に感じて安心できる場所でありたいものです。
 平成21年のM1-F1総研の調べでは家族の心が通い合う時間の1位は夕ごはん、家族団らんと聞いて思い浮かぶ時間も1位が夕ごはんでした。最近、ライフスタイルの多様化で家族が一緒に食事することが減り子どもの個食が増えています。家庭内暴力やいじめ、非行など青少年の心の荒廃を防ぐには、家族の心が通い合う時間を大切にして家族の絆を大切にすることだと思います。
「夫婦別姓」は、必然的に家庭内での「親子別姓」をもたらし、子どもたちが受ける悪影響ははかり知れません。夫婦別姓制度は、家族の一体感や家族の絆、さらには先祖とのつながりをも断ち切る法案です。家族の姓を統一する現民法上の家族の原則を崩壊させ、家族解体を導くもので、とても容認できません。
 今、「公」よりも「個」が尊重され、個人主義の世の中になりつつあります。何をやっても個人の自由といった行き過ぎた個人主義は、これまで私たちがつちかってきた日々の暮らしに様々な悪影響を及ぼします。夫婦が別々の姓を名乗るようになったら、将来私たちの生活や家族の姿はどうなってしまうのでしょうか?
 夫婦の姓が違うと、正式に結婚した夫婦なのか、ただ同棲をしている事実婚なのか見分けがつかず、離婚をしやすくなります。また、夫婦が別姓で生まれた子どもの姓は、兄弟を同じにするために最初の子どもが選んだ姓となります。親と姓が違うことは、子どもに非常に心理的な影響があり、負担となります。3世代同居となれば一つの家に様々な姓を持つ人が住むことになり玄関には、アパートのように家族すべての姓名を表示した表札が掲げられることになります。先祖代々のお墓という感覚から、個人のお墓となり、命のバトンをつないでいく感覚がなくなります。わが国の伝統的制度を破壊し家族崩壊へ導いていく法律にどんな利益があるのでしょうか。
 働く女性が結婚後も不利益が生じないように旧姓のままキャリアを生かしたいと言う人がいます。しかし法律にまでしなくても大阪府の大田房枝前知事や高市早苗衆議院議員のように旧姓を「通称」として使用することで対応できます。この民法改正案には他に嫡出子と非嫡出子の間で、遺産相続の配分を同じにすることも含まれていて、混乱を招きかねません。また、離婚後最低6ヶ月再婚できなかった女性が100日で再婚できるようになり、6ヶ月以内に出産した子どもは今では前夫の子どもとなりますが再婚後の子どもとして認めてもらえるので、いい法律だとマスコミはこちらをクローズアップしています。
 私たち日本女性の会ではブライダルデザイナーの桂由美さん、日本女性の会会長の小野田町枝さん、服飾評論家の市田ひろみさんなどが呼びかけ人となり「夫婦別姓に反対し家族の絆を守る国民委員会」を発足し3月20日東京ビッグサイトにおいて緊急の国民大会を開催しました。全国から集まった500万名の署名の多さから伺えるように国家の存立にかかわる重要な法案であると言えます。政権与党では亀井国民新党代表が反対の姿勢を示していますが、野党から公明党や共産党が賛成に回れば成立してしまいます。今こそ国民一人ひとりが家族のあり方を真剣に考えなければいけないのです。和歌山県では4月12日(月)14時から、和歌山ビッグ愛大ホールで夫婦別姓と外国人参政権に反対する県民集会を開催します。ぜひご参加ください。