排ガス規制の壁  〜大阪へ行けない福祉バス〜
和歌山県身体障害者連盟理事 柳岡克子
 1月27日、和歌山県自治会館で和歌山県身体障害者連盟の理事会があり、その後仁坂吉伸知事との懇談会が開かれました。これは毎年開かれている和やかな集まりで、知事は障害者の困っていることに真摯に耳を傾けてくださり、和歌山県の福祉の向上に取り組んで下さっていることがわかりました。
昨年の会で私が知事に、災害時に障害者が不安を持っていることを訴え、県主催の防災訓練に障害者も参加させていただきたいとお願いしました。知事は「もっともな話で至急対応を」とのことで昨年9月6日、御坊市野口で開催された大掛かりな県の防災訓練にあたり、地元御坊市身体障害者福祉協会と日高郡身体障害者連盟の会員が参加できることになりました。その中で、「避難所に設置される簡易トイレを洋式にしてほしい」との願いどおり、モデルの洋式トイレが展示されていました。今後聴覚障害者への情報伝達方法などきめ細かい対応についても県をあげて取り組んでくださるとの心強い言葉をいただきました。また、ヘリポートには防災ヘリが発着する実演もありました。私は、昨年秋ドクターヘリによって和医大に運ばれるという初体験をし、命を助けていただきました。和歌山県がいち早くドクターヘリを導入してくださったことに感謝を述べさせてもらいました。
その他、現在準備中の2015年に開かれる和歌山国体の障害者への対応としてボランティアの育成や施設のバリアフリー化などハードとソフトの両面から和歌山県の特色を生かした大会にしたいとの考えも示して下さいました。
県下全域の身体障害者の代表が集まっての懇談会ということで、皆さんの意見が白熱する場面もありましたが、一つ一つ丁寧に回答してくださいました。その中で、知事が「私も知らなかったので何とかしたい。」と前向きな考えを示して下さったことで障害者にとって大変困った問題があります。
それは、和歌山県が所有する福祉バスが平成21年10月1日より大阪へ乗り入れすることができなくなったことです。福祉バスは、和歌山県子ども・女性・障害者相談センターが事務局となり、在宅の身体障害者の社会参加を促進するため、障害者団体に32人乗りのリフト付きバスの貸し出しを行なっております。講演会や研修会、スポーツ大会、レクリエーション、県の事業などに年間約40回利用しています。1団体年2日間以内でガソリン代、高速料金、駐車場代の負担で3ヶ月前から申し込みが出来ます。私も、毎年大阪市で開催される卓球の全国大会や近畿ブロック身体障害者相談員研修会などに何度か利用させていただきましたが大変助かりました。
ところが、大阪府では、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質に係る環境基準の達成を図るため、条例を改正し、排出基準を満たさないトラック・バス等の府域の対策地域内への発着を禁止する流入車規制を実施しました。そこで古い型の福祉バスがこの排ガス規制の対象になって大阪へ乗り入れることができなくなりました。仁坂知事はトラック協会の危機だということで県の補助金を予算に組み込むことにしていますが、県所有の福祉バスが排ガス規制の対象になっているということで、何とかしたいとの考えを示してくださいました。今後の対応に期待したいと思います。