2mlのボランティア 〜骨髄バンクに登録を〜 | ||
骨髄バンク登録説明員 柳岡克子 | ||
35年ぐらい前、山口百恵主演の「赤い疑惑」で大学の研究室の爆発事故に巻き込まれ、コバルト60の放射線を被爆した幸子が白血病に侵され、異母兄弟とも知らず三浦友和演じる医大生光男と恋に落ちるドラマに感動したものです。当時血液のがんとされ、白血病といえば不治の病として考えられていて涙を誘いました。その後医学の進歩により骨髄移植をすることにより新しい血液が造られ治療が可能な病気になりました。 骨髄は赤血球、白血球、血小板などの血液細胞のもとになる造血幹細胞が含まれていて骨髄液で満たされています。病気などによって正常な造血が行なわれなくなった場合、健康な人(ドナー)の骨髄液を静脈から注入して治療することを骨髄移植といいます。骨髄移植は、白血病や再生不良貧血、悪性リンパ腫などに有効とされています。赤血球にA・B・O・ABの血液型があるように白血球にも型があります。ヒト白血球抗原(HLA型)は組合せが数万通りあり適合具合によって拒絶反応などの合併症によって移植の成功率が低くなります。ドナー登録者が増えれば、患者さんとのHLA型が適合する率が高まることが分かっており、日本ではドナー登録者が30万人いれば、9割の患者さんに提供者が見つかると言われています。だからこそ広く一般からドナーを募る骨髄バンクが必要となるのです。 骨髄バンクのドナー登録には、骨髄提供の内容を十分に理解していただくことが要件です。年齢が18歳〜54歳の健康で、男性なら45kg、女性なら40kg以上の体重の方なら登録できます。病気療養中または服薬中の方や、がん、膠原病、自己免疫疾患、先天性心疾患、心筋梗塞、狭心症、脳卒中などの病歴のある方や、最高血圧が151以上または89以下・最低血圧が101以上の方、輸血を受けたことがある方、貧血の方、血液の病気の方、ウイルス性肝炎、エイズ、梅毒、マラリアなどの感染症をもっている方、アレルギーがある方、椎間板ヘルニアなどで腰に手術を受けたことがある方、過度の肥満の方はドナー登録をご遠慮いただいています。 登録は、登録申込書に署名して、2mlの採血をすることによって完了です。今までは骨髄ドナー登録のみを行なう集団登録会を開催していましたが、最近献血と併行してドナー登録会を開催し、献血の比重の測定時にドナー登録用の検体を採取する献血併行登録会が増えています。おかげで平成20年に目標としていた30万人を突破し、平成22年11月末現在では37万4857人の登録者となりました。しかしながら、満55歳の誕生日で自動的に登録が取り消しになったり、妊娠中だったり、登録者が皆提供者となるわけではありません。 登録をしたからといってすぐに提供者になる方もいれば、全く連絡がない方もいます。患者さんとのHLAの型が一致して初めて提供の意思を確認する書類が届きます。その後コーディネーターと調整医師の詳しい説明と問診を受け、提供の意思に変わりがなければ、健康状態などを調べるための採血をし、ドナーに選ばれると、家族を交えて最終同意書にサインをします。骨髄液の採取は全身麻酔により、腰の骨に針を刺して骨髄液を500〜1000ml吸引します。4日程度の入院が必要です。和歌山県では、県立医科大学附属病院と日赤和歌山医療センターが移植の認定病院となっています。 平成22年10月から非血縁者間の「末梢血幹細胞移植」が導入され、白血球を増やすG-CSFを注射後4~5日目に1泊2日の入院で造血幹細胞を採取することによって全身麻酔の必要がなくなりました。 私は、御坊市の男女共同参画推進グループウイズ・ア・スマイルの会長をしていて、平成18年度、和歌山県民間への人権啓発活動委託事業として、田中裕子主演映画"火火"上映会を委託してもらいました。この映画は、女性陶芸家のひたむきな生き方と白血病の息子との親子愛を描いています。骨髄移植を可能にしたバンクの設立に大きく力を尽くした「神山清子さん」をモデルにした映画です。病によって志半ばに命を落とさざるを得ない人に、助かる道があるとすれば何とかしたいと思うのがこれまた人として慈愛に満ち溢れた思いやりです。生きたいと願い、生きる権利を持ちながら亡くなっていった多くの方々が待ち望んだ骨髄移植。ドナー不足による適合の確率が低かったり、移植の段階で家族の理解が得られなく断念したり、現実は厳しいものがあります。一人の女性の生き方を通して命の尊さを語りかけ、真剣に生きる喜びを感動と共に視聴者に与えてくれました。私はこの映画の上映に当たって和歌山血液疾患患者家族の会「ひこばえ」の北山瑛子代表と出会いました。北山さんは、平成4年10月、15歳の長女が、慢性骨髄性白血病の告知を受けました。翌年8月名古屋第一日赤病院で骨髄移植に成功し、無事退院され元気になりました。平成6年9月14日「和歌山血液疾患患者家族の会「ひこばえ」を立ち上げられ、今日活動されています。 その北山さんに薦められ今回、私は、骨髄バンク登録説明員の資格を得ることが出来ました。登録において登録希望者の受付、理解度と意思の確認、登録要件や必要書類の記入のしかたについての説明を行ない、登録手続きを行なう要員として、財団法人骨髄移植推進財団から委嘱状を受けたのです。私は、輸血を受け多くの方に命を救っていただいたことがあります。そのおかげで今こうして元気に活動させていただいています。登録をして恩返しをしたかったのですが、輸血を受けていると献血も登録もできません。そこで何か私にできることはないかと思っていた時に声をかけていただいたのが説明員の研修でした。これからは献血バスでの併行型登録会で説明させていただきますので、多くの皆様の登録をお願いしたいと思います。 |