田母神俊雄氏の講演を聞いて
和歌山県防衛協会青年部会 柳岡克子
5月23日紀南文化会館、24日有田市民会館、和歌山東急インにおいて、前航空幕僚長田母神俊雄氏の講演会が日本会議和歌山主催、和歌山県防衛協会青年部、和歌山友の会共催でありました。田母神氏は昭和23年福島県生まれで、防衛大学を卒業後航空自衛隊に入隊、平成20年10月アパグループ主催の第1回『「真の近現代史観」懸賞論文』に応募した「日本は侵略国家であったのか」が最優秀藤誠志賞を受賞されました。この論文の主旨が政府見解(村山談話)と異なる歴史認識とされ、それを外部に発表したこと、自衛隊最上層部への申請なく応募したとして、防衛大臣から航空幕僚長の職を解かれて航空幕僚監部付となったうえで、60歳定年が適用され、11月3日を以て自衛隊を定年退官されました。その後、参議院外交防衛委員会に参考人として招致されましたが、委員会において論文内容を否定するつもりはないことを改めて主張したため、これら一連の経過は、報道によって世間の注目を集め、テレビ出演など、今や全国各地の講演会に引っ張りだことなっています。その肩書きや論旨からは想像も付かない小柄な容貌の方でした。
「ご紹介いただきました危険人物の田母神でございます」といきなり笑いを誘い、「あちこちでたたかれてこんなに小さくなってしまいました。慎重さが足りないと言われたが、私に足りないのは'身長'です。危険人物といわれていますが、5分間話してもらえれば穏やかないい人だとわかってもらえる。」といって始終難しい話の割には和やかな講演でした。「日本はいい国だと言ったら辞めさせられる。悪い国だと言い続けるのがいいのか」と疑問を投げかけました。
田母神氏は、「いつまでも『自虐史観』や『東京裁判史観』にとらわれているような実態から脱却して、先の戦争をもっと多面的に見つめなおそうではないか、日本が悪いことばかりしてきたとされるような歴史認識を改めようではないか。」と話されました。田母神氏は、「そうした呪縛によって、いまだに集団的自衛権の行使が容認されない、自衛隊の武器使用も制約されている。」といった安全保障体制の不備を指摘しました。「日本がやられたら助けてください。でもそちらがやられても助けられません。では、友達でいてもらえるでしょうか。」とわかりやすく話してくれました。折りしも北朝鮮が地下核実験を成功させたというニュースが飛び込んできて、隣国にもかかわらず、被爆国としての主張も聞き入れられず、拉致された日本人がまだいるのに今も救い出せないなめられた国であることを国民一人ひとりが真剣に考えなければならないと私は思いました。
 和歌山県の3会場は満員で、約1300人が、政府や自衛隊の実態や裏話に聞き入って感動に包まれました。私は講演の中で、「国益を考えたリーダーシップのある政治家が戦後少なくなってきた。それは戦後教育のせいだ。教育勅語は今世界で読まれ親しまれているのに、日本は教育勅語を止めてしまった。日本の伝統や文化を見直し、日本人としての誇りを取り戻そう。」と呼びかけてくれたところが特に印象に残っています。
今回共催した和歌山県防衛協会の樫畑友洋青年部会長は「自衛隊は日本の平和と独立を守ってくれています。私たち青年部会は、自分の国に誇りを持って、命をかけて日本を守ってくれている自衛隊を理解し、応援したいと思います。今回の講演会で国家や安全保障について考えるきっかけにしていただきたい。」と挨拶。和歌山県防衛協会青年部会は、和歌山県防衛協会を母体として、平成18年に発足しました。国民の防衛意識の高揚を図るとともに、自衛隊の健全な発展への協力を目的として25歳から50歳までの青年が活動しています。
 和歌山県防衛協会では、創立40周年記念講演として、6月7日日曜日、午後4時から東急インにおいて衆議院議員で元防衛大臣小池百合子氏の「地球を守る、日本を守る!」という講演会を企画しています。無料ですが整理券が必要です。090-8219−0198柳岡克子までご連絡下さい。