認知症を支える  〜認知症サポーターを増やそう〜
認知症キャラバン・メイト 柳岡克子
 認知症は誰にも起こりうる脳の病気です。全国には平成17年の統計では約205万人、85歳以上では4人に1人に症状があるといわれています。和歌山県の人口(平成20年3月31日現在)は、1,045,973人。65歳以上の高齢者人口は、264,111人。(高齢化率25.3%)要介護者は、51,115人。そのうち2人に1人が認知症高齢者で何らかの介護・支援を必要とするという結果があります。このことから、和歌山県では、約25,000人が認知症高齢者と推測することができます。
 認知症高齢者が今後20年で倍増することが予想される中で、認知症を正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守り支援する市民「認知症サポーター」を増やそうという取り組みが、現在、全国各地で実施されています。厚生労働省は、認知症高齢者を地域住民が支えるまちづくりを推進するため、一定の講座を受講した方を「認知症サポーター」と認定し、5年間(2004年〜2008年)で全国に100万人を養成するキャンペーン(認知症サポーター100万人キャラバン事業)を実施しています。
 「認知症サポーター養成講座」を受けた人が「認知症サポーター」です。全国キャラバン・メイト連絡協議会では、都道府県、市区町村など自治体や全国規模の企業・団体等と共催で認知症サポーター養成講座の講師役(キャラバン・メイト)を養成しています。
 1月28日、認知症キャラバン・メイト養成研修(紀中会場)が日高町保健福祉総合センターで開催され85名が受講しました。平成20年度は紀北・紀中・紀南の県下3ヵ所で約220名が新しく養成され、あわせて約460名のキャラバン・メイトは自治体事務局等と協働して「認知症サポーター養成講座」を開催します。
 「認知症サポーター」は、認知症を正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守る応援者です。自分のできる範囲で、友人や家族にその知識を伝えたり、認知症になった人や家族の気持ちを理解するよう努めたり、隣人あるいは商店・交通機関等、まちで働く人として手助けをする人たちです。なお、「認知症サポーター」は認知症を支援する「目印」として、ブレスレット(オレンジリング)がもらえます。この「オレンジリング」が連繋の「印」になるようなまちを目指します。
 講座はだいたい90分のカリキュラムでテキストに沿って進んでいきます。まず100万人キャラバンについて説明があり、DVDを使って認知症についてわかりやすい事例を示します。次に認知症とはどういうものか基本的なことを学習します。脳の細胞が壊れることによって直接起こる記憶障害、見当識障害、理解・判断力の障害、実行機能障害などの症状と、本人がもともと持っている性格、環境、人間関係などさまざまな要因がからみ合って起こる精神症状や行動上の問題について具体的に学びます。そして認知症の治療や予防について専門家とのコミュニケーションや信頼関係の大切さを学びます。最後に認知症の人と接するときの心がまえや介護している家族の気持ちを理解し地域や職場など認知症サポーターとしてできることをさまざまなケースを参考に学び「認知症サポーター」となるのです。
 現在日高・御坊地域で100名近くのキャラバン・メイトが養成研修を受講したことにより、今後地域ケアのレベルを押し上げるためにもメイトが講師となってあちこちで講座が開かれることでしょう。講座開設の依頼のあった自治会や職場、学校、団体などの長の方には、多くの参加を呼びかけていただくと同時に、講座には一人ひとりが積極的に参加し地域ぐるみで認知症への理解を深めていただきたいと思います。