14、修学旅行
 高校2年生になると修学旅行がある。ある日クラスのホームルーム委員が「今日の放課後掃除が終わったらクラブに行く前にちょっとみんな集合してくれ。柳岡さんについての修学旅行の話し合いをするから残るように」と。私はきっと長野の信州というところに行くことになっていたので、信州そばなのか野沢菜なのかお土産を何にしようか、いくらずつお土産代を集めたらいいのかという話し合いをしてくれる会だと思っていた。私は小学校も中学校も母についていってもらって遠足に行った。でも泊まり込みの修学旅行となると難しいのではとあきらめていた。1班、2班、3班、4班、5班というグループに分かれた。私はお土産の話と違うなと思っていた。「1班は初日、2班は2日目、3班は3日目、4班は4日目、5班は帰りだ」クラス45人が5つのグループ9人ずつに分かれた。私を修学旅行に連れて行くに当たって一人ひとりが車いすを押す係、荷物を持つ係、階段を引っ張り上げる係というふうに分担して手分けして係を決めてサポートしようということになった。私はこの日ほどうれしかったことはない。先生に言われたわけでもないし、私が頼んだわけでもないのに皆、私を留守番と思わず一緒に行こうと思ってくれたからだ。観光地といっても今ほどバリアフリーではなかった時代なので母も行ったが別行動でずっとクラスの皆と一緒だった。御坊という土地はあまり雪が降らないので一面の銀世界というのを見たことがなかった。それで5月だったが生まれて初めて雪景色を見て本当に感激した。車いすを担いで雪の上を運んでくれた。あの感激はクラスの皆が与えてくれたものだ。「このクラスで良かった。みんなに支えられてこのクラスの友達がいたおかげで私は今高校生活をがんばれるんだ。」友達のありがたさというものをつくづく感じた。