沖縄から平和を祈る
   〜沖縄戦殉難者慰霊法要に参加して〜
 10月24日から沖縄戦殉難者慰霊法要に参加させてもらいました。かつて琉球王国として独自の歴史を築いた沖縄は、その後日本の統治により琉球藩、そして沖縄県となりました。大東亜戦争では、唯一の地上戦が展開され、悲惨な体験のすえ米軍統治時代を迎え、そして、本土復帰と、歴史の荒波を経て今日に至っています。私の信仰する教団では、平成5年、沖縄県に、お寺を建立した時から毎年慰霊法要を行っています。
 25日、平和祈念堂において慰霊の花束を捧げ、参列者の観音経の読経中一輪ずつ献花を行って、戦争犠牲者に哀悼の意を捧げました。開祖様は昭和49年、89歳で始めて沖縄に来られ「戦争を二度と起こさないように、家庭から仲よくすることが大切である。宗祖宗派や国籍・民族意識にもとらわれないで、世界中の人がみんな友達となって手をつなぎ、争いのない、拝み合いの世界をつくることが、教団の目的である。」とお諭しくださいました。法要後、教団幹部が「命を捧げても日本、郷土を守るとの気概で戦った人たちのおかげでこんにちの平和な日本があり、将来を託された私たちはその亡くなられた人たちに感謝し、祖国日本を守っていくことを誓います。」と教団を代表して挨拶。また、参拝者から不戦や平和への願いを込めて、折鶴を奉納、全国でも珍しいと言われる金のさなぎの蝶を7頭大空へ放し、病む人も、貧しき人も争う人も、悩む人もない万人和楽の浄土の実現と世界平和への祈りを新たにしました。
 前日には、第32軍司令官牛島満中将と長勇参謀長を祀っている黎明之塔と野田校長他17名の職員と289名の生徒達を祀っている沖縄師範健児之塔前にて、全国から集まった信徒等がお袈裟を身に厳粛に法要をとり行いました。黎明之塔まではたくさんの階段があり、私は下で待っていることにしました。皆が階段を上がり姿が見えなくなってのんびり景色を眺めていた時、制服姿の男子学生4名が私のそばを通りがかりました。修学旅行で来ていて今は自由時間とのことでした。私の団体がこの階段を上がってお参りしていると言うと、4人がかりで車椅子を担いで階段を上がってくれると言います。「私は重いよ〜。」と言うと「僕は野球部です。僕はサッカー部です。」と元気な声が返ってきました。皆に迷惑がかかるからと遠慮していましたが、せっかく沖縄まで来たのだから本来の法要という目的を1ヵ所でも果たしたいと思いました。そこで4人に車椅子を担いでもらい黎明之塔の前まで連れて行ってもらうことができたのです。多くの犠牲者の魂に吸い寄せられるかのように皆と一緒に法要のお経をお勤めさせてもらうことができたのです。自由時間の大半を私のために使わせてしまいましたが法要が終わるまで待っていてくれ、帰りの下り階段も車椅子を担いでくれました。東京都の大森学園高校の2年生の友達同士だということでした。なんと親切な生徒さんたちでしょう。将来は教師になりたいと夢を語っていました。立派な先生になってくれることでしょう。帰宅後、校長先生にお礼を申し上げると、職員に報告し、職員室に写真を掲示しているとのことでした。普段からボランティア活動に力を入れた教育をしている学校だとの事です。
 健児の塔へも階段があるとのことでバスの中でガイドさんと慰霊塔の話を聞きながら待っていました。育休復帰2週間目のガイドさんは派遣で沖縄弁でしゃべるとペラペラで何を言ってるのかわかりませんでした。沖縄はタレントが大勢いてよく見かけるとのことでした。以前アルバイトしたローソンがNHKの朝ドラ「ちゅらさん」の主役国仲涼子さんの両親が経営していたなど楽しい話をしてくれました。
 ひめゆりの塔でもお参りをしました。伊原第3外科壕にはひめゆり学徒を含む陸軍病院関係者、住民など約100人がいましたが80人余りがなくなりました。ひめゆり学徒隊は沖縄師範学校女子部と県立第1高等女学校の生徒からなり、解散命令の夜、お別れ会をした翌朝米軍のガス弾攻撃を受けました。最後に沖縄平和祈念資料館で沖縄戦の歴史を振り返り、日本の盾となって県民をも犠牲とした地上戦のすさまじさを改めて知りました。戦争の体験者が年々減少し、歴史が風化していく中で、日本人が忘れてはならない、後世に伝えていかなければならない、繰り返してはいけない大切なものを感じました。どうか殉難者の魂が救われ、これからの日本の平和を見守っていただきたいと思いました。住職先生方のグループは、私達とは別に山吹之塔・白梅之塔・魂魄之塔・第3中学学徒の碑をも巡拝され、殉難者の霊を慰めました。
 教団では戦没者を慰霊するため沖縄だけでなく広島や長崎・サイパンでも全国からの信徒による慰霊法要を毎年行っています。今回は母との参加で首里城やちゅら海水族館や名護パイナップルパークなど観光地を巡り、私の沖縄殉難者慰霊法要の旅は無事帰途に着きました。お世話になった皆様に御礼申しあげます。