12、義務教育卒業
 多くの皆さんのおかげで御坊市の小中学校で義務教育を卒業することができた。40年前にはバリアフリーなどという言葉もなかった。私のように、地元の健常児と同じ学校で学ぶにあたり、先生や教育委員会など多くの方が私を見守ってくださったことは本当にありがたかったことだと改めて思う。また、しんどいことがあっても学校生活を続けられたのは友達の励ましと父母の支えがあったからだ。9年間1日も休まず通ったのは、私ががんばったからではなく、風邪を引こうが熱でうなされようが、朝になると母が学校へ送ってくれたからだ。体育の授業があって学校に行きたくない日でも、不登校になれなかった。不自由でも体調はよく、入院も通院もなく元気に過ごせたのもよかった。
 御坊中学校を卒業して高校へ行くには、高校入試を受けなければならない。やんちゃな連中にまちがったことを教えられないと思い勉強をがんばった。おかげで日高高校に無事に合格することができた。
 その後3年間、母の無遅刻無欠席の送り迎えは続く。御坊中学校以外の中学校からも大勢来ていた。歩き方を笑ったり、やんちゃな子はいなかった。私のことを全く知らないので、特別扱いしないさばさばした対応が新鮮だった。その分何が不自由でどこで手を貸してほしいかを伝えなければ誰も気づいてくれない不便さもあった。ちゃんと言えば皆親切だった。